ロシア絡みで大きな動きが2件、ありましたね。
ひとつはNATOの拡大の確定。
スウェーデンとフィンランドのNATO加入申請で、反対していたトルコが賛成に転じ、加入が確実になりました。
当初、強硬に反対していたトルコとは、両国とNATOが対話を重ねており、満足の得られる回答があったようです。
ちなみに、日本海海戦で有名なバルティック艦隊は、その名の通り当時はバルト海の奥部、レニングラードことサンクトペテルブルグの沖合にあるコトリン島にあり、現在の後継艦隊も、同じくバルト海の入り口近くにある、飛び地であるカリーニングラードに置かれている為、狭い海峡部を抜けないと北海へ出られません。
今までは、海峡北側が非NATOでしたが、これからは両岸ともにNATOになるわけですから、NATOと戦闘状態になれば海峡は確実に封鎖されます。
軍事的な戦力配分としてバルト海はそれほど重要ではなくなっていますが、今のロシアの外交状況が端的に表れているようですね。
しかし、今回のNATOに関して、最も利益を得たのはトルコでしょうな。
トルコが気にしていたのは、クルド人勢力に対する支援問題。
トルコはクルド人勢力をテロ組織と見なしていますが、両国はクルド人を受け入れており、特にスウェーデン国内に10万人という多くのクルド人が保護されています。
この内、クルド人活動家の身柄引き渡しを迅速化するとの回答があったようですね。
クルド人は、国家を持たない最大の民族で、トルコを中心にイラン、イラク、シリアに跨る地域に居住しています。
個人的には、それだけの人口規模があれば、独立して国家を建てるのが将来的には周辺地域が安定すると思っていますが、居住地域の国名を見ただけで一筋縄ではいかないと感じさせる上に、近年ではISILと戦ったり、相当複雑。
ひとつの国の中にあるのなら、敵対する国家が支援なんてこともあるんですが、多国家に跨っていると、抑え込むのが共通の利益になってしまいますから、難しいですね。
欧米の列強の後始末が残っているという感じでしょうか。
もうひとつは、サハリン2の譲渡。
プーチン大統領が、サハリン2の運営会社の資産を、新たに政府が設立する会社へ移管する大統領令に署名しました。
ま、日本が敵対国に認定された段階で想定された事態ですが、「信じられない」とか「びっくり」という報道があって、こちらがびっくりしています。
どう考えても、そうなるやろ、と。
これより前に、ロシアから撤退した企業の資産は没収できるという法律が成立していますから、サハリン1も2も、運営していた資源メジャーが撤退した段階で、十分考えられることではありました。
こういうのを見ると、西欧はやはり損切りの判断が早いという事と、対して日本は相変わらず損切が下手くそというのが、明白になりましたね。
今後、どうなるのか、交渉の余地があるのか、何とも判断はできませんが、政府も経産省も、もう少し戦時対応という意識を持って欲しいものです。
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