2022年3月31日木曜日

5000円

どこから出た話なのか、突然、年金生活者に5000円を配るという話が出まして、そして白紙に戻りました。
 
 
この騒動はなんだったのか・・・
与党である自民党の政調会長である高市氏にも話が無かったようで、当然ながら与党内で議論もされておらず、政策としては思い付きに近いものと言えそうですな。
なんとも杜撰です。
年金生活者に対する5000円給付が俎上に上がったのは、新型コロナによる影響で、年金のマクロ経済スライドという仕組みによって0.4%の年金支給額の減額が発生するからなのですが、この算出要素は賃金と物価なんですよね。
つまり、賃金が下落しているから支給額も下がる、という事。
この2つの要素は、現役世代も影響を受けている、どころか賃金はダイレクトな要素ですので、現役世代たる自分としては、なんで年金生活者だけ補填されるのか?という疑問が当然のように湧きます。
まして、年金は給料や賞与と違って、新型コロナの影響で減額されたなんてことも無かったわけですからね。
一昨年の給付金は年金生活者を含む国民全員に配られましたし、今さら、現役世代と区別を付ける意味が解らない。
そして、実務として5000円を配るのにその半分ぐらい経費が掛かるというのも、アホらしい話。
無駄が多すぎますわ。
やるとしても、来年度分は単純にマクロ経済スライドを停止すれば済む事。
デフレが続いている間、マクロ経済スライドはずっと停止されていましたから、実績はありますし、スマートで負担も少ない。
ついでに言うと、その停止された期間の分だけ、今でも支給水準は高いままになっていますからね。
これ以上まだ忖度するんか、という気分すら出てきてしまいます。
なんだか、シルバー民主主義の悪い部分を凝縮したような、整合性が無くて筋の悪い施策でしたな。
強引に推し進められなくて、良かったです。
 

2022年3月28日月曜日

列女

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が、俗に言う亀の前事件に差し掛かりました。
先週からドキドキワクワク!
もうちょっとサディスティックでバイオレンスな感じになるかと思っていたんですが、うまく物語の進行に落とし込みましたね。
頼朝の奥向きに対するの制御力の弱さと、政子と牧の方の政治志向が浮かび上がってくるようでした。
個人的には、地方軍閥時代の頼朝政権を描く場合、この事件が最も見どころではないかと思っています(笑)
何にしろ、北条政子にとっては、列女たる気性の激しさを記録された最初ではないでしょうか。
気の強い妻に頭が上がらないといった感じの頼朝ですが、当時の風習で言えば、本来的に京男である頼朝にとって、側室を持つというのは当たり前の感覚だったのでしょう。
上方の貴族社会では、基本的に通い婚ですからね。
かっちりと枠が決まった夫婦関係ではないわけです。
ですので、側室という感覚さえ無かったかも知れません。
一方の政子は、坂東武者の家に生まれ、本質的に一夫一婦制に近い開拓領主の感覚があったとといわれていますね。
農家もそうですが、開拓領主の夫婦には、農園の共同経営という感覚があります。
それが、この事件に繋がったと。
それにしても、上の件を差し引いて尚、政子の気性は激しいですな。
怖や・・・怖や・・・
そして、最も可哀想なのが、頼朝に頼まれて亀の前を住まわせていた伏見広綱。
後妻(うわなり)打ちで屋敷を壊され、更には政子に目の敵にされて流罪にされてしまいます。
いや~、嫉妬というのは怖いですね。
それは女も男もですが。
 

2022年3月26日土曜日

デフォルト(仮)1号

ロシアのウクライナ侵攻後、初めて利払い実行ができない企業が出ました。
ロシアの鉄鋼メーカーであるセベルスタリです。
 
 
セベルスタリの資金は潤沢なようですが、外貨での送金をシティグループが受けなかったとのこと。
どうやら、セベルスタリ側がシティグループの要求していた、米国財務省外国資産管理局の許可を得なかったことが原因のようです。
ただ、セベルスタリ自体は制裁を受けている企業ではありませんし、支配株主であるアレクセイ・モルダショフも、プーチン大統領に近しいオリガルヒであることからEUやイギリスからは制裁対象になっていますが、米国からは対象となっていません。
制裁のボーダーラインの隙間に落ち込んでしまった不払いという感じですね。
注目されていたソブリン債の利払いは乗り越えましたが、これからもポロポロとこういう案件が出てくるでしょう。
そして、3/28にはズベルバンクへの制裁の猶予期間が終了し、ロシア最大手の銀行を介した外貨の受け渡しができなくなります。
そして、4/4にはソブリン債の元本償還という大きな壁が。
戦況の膠着もですが、金融面でもこの10日ほどがロシアに取って山場になりますな。
 

2022年3月22日火曜日

107%

今日は、電力事情が非常に厳しかったですね。
関西は通常運転ですが、関東は地震による火力発電の停止に加え、この真冬並みの寒さで暖房需要が急増しました。
その結果、14時台には使用率が最大に。
107%!
100%超えとるがな。
昔、インフラ系の汎用機的なサーバーで使用率が101%というのを見た時がありましたが、それ以来の驚きですな。
ちなみに、90%を超えると色々不具合が発生しがちだったので、101%までぎりぎりで正常運転できていたのは奇跡のようなものだった印象です。
今日の電力供給も、似たようなものだったはず。
火力発電所は、脱炭素もあって更新が滞り、古い施設が多くなっていますから、能力限界までブン回すと故障が発生しやすい状況です。
運用部隊にとっては、ヒヤヒヤの綱渡りの1日だったでしょう。
いや~、東京電力の運用部隊は頑張った!
企業の自家発電なども頑張った!
インフラ系っていうのは動いて当たり前で、普段はなかなか意識されない分野ではあるんですが、そこには常にエンジニアが頑張っていますから、そこにスポットが当たるのは、畑違いながらエンジニアの端くれとしては嬉しいことですね。
 

2022年3月13日日曜日

進む分断

ウクライナ侵攻以来、東西冷戦の頃の雰囲気が戻ってきていますね。
世界が分断されていたあの頃に。
いや、当時は分断されつつもそれなりの秩序と仕組みはありましたから、それよりも厳しいかもしれません。
侵攻を切っ掛けとした金融制裁により、ロシアの外貨準備は凍結され、ルーブル安が進んでいます。
そのせいで、ロシアのデフォルトの可能性は非常に高まっていますが、ロシア政府はルーブルで支払うことが可能とする法令を成立させ、ルーブルで支払うのでデフォルトにはならないと強弁する始末。
ドルで貸したのに、値が下がり続けるルーブル、しかも恐らくは公定のレートで支払って貰っても、どうしようもないでしょう。
デフォルト認定は貸し手の認識ですから、ルーブルで払うことにデフォルト回避的な意味はないですし、普通の投資家は当分の間、恐らくは10年以上、ロシアの外貨建て債券は買わないでしょうね。
航空機のリース問題もそうです。
国際線を停止させ、リース契約を解約された機体の差し押さえを阻むつもりのようですが、その影響からリース債権を組み込んだ金融商品が大荒れです。
こうなってしまったら、ロシア向けで航空機のリースは今後も成立しなくなりますな。
ニュースで「借りパチ」という懐かしい表現が使われていましたが、まさにその通り。
でも、エアバスもボーイングもロシアから撤退を表明していますから、正規部品が供給されず、「借りパチ」しても共食い整備ぐらいしかできませんけども。
そして、とどめは撤退する企業の商標や特許の使用の無償化したこと。
法律の立て付け的には、ロシア政府が強制的にライセンス許可を命じ、0%のライセンス料を払うということらしいです。
いずれにしろ、撤退企業の知的財産がロシア国内で使いたい放題ということになりますな。
更に、事業停止をしている企業に対して、再開をしない場合は資産没収ができるような法律策定を進めているようですから、ロシアに進出していた企業は全損処理しかありません。
こんな前例ができると、ウクライナでの軍事衝突が終了しても、ロシアに進出しようという西側の企業は二の足を踏むでしょうね。
すなわち、ウクライナの状況や結果に係わらず、今後はどんどんと分断が進むというわけです。
それがどれくらいの期間になるのかは不明ですが、イランや北朝鮮などとは違い、GDP10位の国ですからね。
そんな国が、金融や物流から離脱するというのは、世界にとってもかなり大きなインパクトで、今後どういう世界になっていくのか、ちょっと想像がつかないですな。
 

2022年3月7日月曜日

北風がドミノを倒す

北風と太陽という童話があります。
旅人のコートを脱がせる為に太陽と北風が競う話。
人間同士の関係でも時々見られるんですが、安保が絡むと、こんな連鎖的に、しかもはっきりと見られるんですね。
ロシアのウクライナ侵攻以降、ロシアが全方位的に恐喝まがいの外交をした結果、ウクライナと同じくソ連の旧衛星国かつロシアから軍事的な圧迫を受けている、ジョージアやモルドバもEU加盟を申請しました。
また、ポーランドやバルト3国など、旧ソ連の衛星国だった国々は、ウクライナが陥落すれば次の火の粉は自分達に降り掛かってくると、エネルギーという命綱を握られている西欧に比べて強硬な声を上げています。
そして、ソ連とは因縁がありつつも中立の軍事的姿勢を保っていたフィンランドとスウェーデンも、ウクライナ側に立って武器を供与し、国民の間でもNATO加盟論が盛り上がってきているとのこと。
北風も北風、暴風ですな。
コートをしっかりと巻き込み、襟を立てて北風に抗うが如く、ベラルーシなどを除いて反ロシアということで西欧から東欧までが、ドミノ倒しのようにまとまりそうな勢いです。
国家というのは組織が大きい為、何事も決定に時間が掛かりがちですが、こんな劇的に物事が進むのは珍しい。
ほぼ1週間の出来事ですからね。
一方、ロシアの脅威をあまり感じていない日本の動きを見ると、やはり鈍いですな。
ロシアは隣国であり、北方領土という領土問題を抱えてる関係なんですが、ね。
ようやく今日、渡航中止勧告が出ました。
何事も欧米に追従する必要はないですが、ロシアがリース切れの航空機の差し押さえを免れる為に国際線を止めるという状況になってからですから、遅きに失した感があります。
また、ユニクロが営業を続けると表明したように、欧米の企業に比べて、企業の営業中止の判断も鈍いですね。
金融は、最大手のズベルバンクを通じた取引がまだ可能ですが、物流は止まりつつありますし。
グローバルに展開した企業では、商品がロシアの外から補給できず、すぐに無くなるのが目に見えています。
どう商売していくんですかね。
また、日本全体に横たわるこの辺りの判断のスピード感は、この問題だけの話ではない、もっと本質的な部分として、ちょっと気にはなりますな。
 

2022年3月2日水曜日

経済制裁の影響

ロシアのウクライナ侵攻に対して、西側各国は経済面での核とも称されるSWIFT排除を含む経済制裁を策定しました。
かなり素早い対応でしたね。
これにより、影響がかなり広がってきています。
ただ、最も影響が大きいと思われたSWIFTからの排除には、ロシア最大手のズベルバンクやガスプロム系の銀行が含まれず、思ったよりも影響は大きく無さそうですな。
他銀行もズベルバンク経由で決済できるわけですからね。
その他では、
 
・各国でのロシア中銀の預金等凍結
・ルーブルの暴落に伴う基準金利20%への変更
・外貨収入のあるロシア企業に対する8割の外貨売却命令
・ズベルバンクの各国子会社の破産や売却の検討
・各国上空の航空機通過の禁止
・船舶や航空機の再保険を受けているロイズが再保険の引き受けを停止
・ロシア国内の約半分を占める航空機のリース契約の解除
・各国企業のロシア事業からの撤退
・ノルドストリーム2の運営会社の破産検討
・エクソンモービルのサハリン1からの撤退
・シェルのサハリン2からの撤退
・TSMCなどの半導体の輸出停止
・各スポーツのロシア選手の参加停止
 
などが報じられています。
多すぎて追い切れないぐらい。
流れを見ていると、金融だけではなく、物流や諸々の製品等の製造、メンテナンスまで止まる勢いです。
ロシア国民の生活が、10年単位で巻き戻されかねないですね。
これら一覧の中でも、徹底されなかったSWIFTからの排除よりも影響が大きそうなのが、ロシア中銀の資産凍結。
これは相当大きな制裁で、テロ支援国家と同列の扱いです。
プーチン大統領は、ドルの凍結を見越して中銀の外貨準備をユーロや円、元、金などに替えていました。
しかし、国外の外貨資産を凍結されると、使えるのが国内の外貨や金などの現物資産や手持ちの資産に限られ、ルーブル防衛に大きな影響が出ます。
報道では、74兆円程度の外貨準備が実質的に半分程度に減るとのこと。
半分も凍結されていることから、プーチン大統領もこの早さはちょっと想定外だったんでしょうね。
今後も影響は広がり続けそうです。
また、これら制裁の反動として、ビットコイン等の暗号資産のルーブル取引急増、中国の決済網であるCIPSの地位向上などが取り上げられており、経済面でも世界の役割や機能が大きく変貌しそうですな。