衆議院議員選挙後、新たな閣僚が任命され、第2次岸田政権の陣容が確定しましたが、どうも岸田首相のグリップが利いているのかいないのか、よく判らない状態ですね。
まだ国会が開かれていないので、何とも言えない部分もあるんですが。
最初に、「ん?」と思ったのは、林外務大臣の発言。
中国から招待を受けて調整しているという発言でしたが、後で何も決まっていないという火消しのコメントを出しました。
林大臣と言えば、日中友好議連の会長を務めていたこともあり、親中派と言われる人。
中国としては、日本の政治家の中でも是非招きたい政治家のひとりであることは間違いないでしょう。
しかし、外交儀礼としては、調整前に発表するのは異例です。
発表した後でやっぱり行けないとなったら、招待した国に対して失礼にもなりますしね。
この辺り、ちょっと稚拙でしたな。
大臣就任でちょっと浮足立ってしまったんでしょうか。
で、米中の対立もある中ですし、即座に自民党内からも批判の声が出て、前述の火消しとなったわけですね。
米国は日本にとって唯一の同盟国で、外相や首相は親密な国から訪問というのが外交の定石ですし、外交メッセージにもなりますから、普通は大臣自ら軽々に表に出すような話ではないはず。
岸田首相の年内訪米が、スケジュール上の都合やオミクロン株への懸念で取りやめになりましたが、岸田政権の姿勢がアメリカから疑問視され、これにも微妙に影響したかもしれませんね。
また、これに関連したのかどうか、安部元総理が台湾の民間研究機関が主催した会合で中国の台湾政策に対する自制を求める発言をし、中国当局が猛烈に反発しましたが、この辺りも、日本の政権が親中に傾いているのではと疑念を持つ米国と、それを懸念する米寄りの政治家、日本を取り込みたい中国の間の綱引きの結果でもあるんでしょうな。
次に、日本版マグニツキー法に対する中谷首相補佐官の発言も。
マグニツキー法は、人権侵害に対する制裁に関する法律で、中谷補佐官はその推進派であり、就任当初は、人権侵害を行う中国に対する、前述の林大臣とバランスを取った人事とも言われていました。
ところが、この中谷補佐官の発言がややトーンダウンしたんですね。
これに対しては、岸田首相の方針があったのか、中谷補佐官が落ち込んだ経済の状況を考えての自律的な発言だったのか、判断が難しいところですな。
グリップが利いているとも、利いていないとも取れますが、いずれにしても手としてはあまり良くないように思います。
人事の最初がバランスを取る目的なのであれば、変わらず強硬な姿勢でバランスを取った方がいいでしょう。
良い警官と悪い警官の交渉術があるように、カードは両方ともあった方が生かすことができます。
戦略的にグリップを利かせ、就任前と変わらず推進の方針を示させることが王道だと思いますが、実際はどうだったのか。
それによって感想が180°変わるんてずが、気になりますな。
最後に、「ん?」と思ったのは、航空会社に新規予約停止を要請したこと。
オミクロン株への警戒によって、入国規制の厳格化が素早く実施されました。
これに関しては、今までの政権より判断が早く、迅速さは評価したいと思ってるんですが、やや厳し過ぎたような気がしますね。
新たな変異株とは言え、コロナという大原則は変わっていないわけですから、運用としては14日間の隔離を徹底するだけでよかったんではないでしょうか。
結論から言えば、その要請は数日で撤回され、国交省の担当部局の独断指示ということになりましたが、本当は政権からの指示があったのか、責任転嫁されたのか、どうなんでしょう。
実態は、外国人の入国が再び5000人から3500人に下げられましたから、そのまま到着便の予約を取り続けたら枠がパンクしてしまうという事への対処に過ぎなかったのかもしれませんが、統制が利いていないという印象はどうしても拭えませんな。
なんだかんだ、船出早々不安定さが垣間見られる岸田政権ですが、今後、どのような舵取りをしていくのか、気になるところです。
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