先日、こんなニュースがありました。
一時期、話題になっていた、新疆でのウイグル族強制労働の疑いに関連する物品の輸入禁止措置に抵触したということですね。
ユニクロ側は、いわゆる新疆綿は使用していないという反論を行いましたが、認められませんでした。
forbesで英文の記事が出てますが、綿生産者を特定する記録、生産者から製造業者の輸送記録、糸の生産記録、綿を選んだ従業員の関する文書、タイムカードや賃金支払いなどの労務文書、販売された原綿に関する日次報告書など、相当広範囲な証跡が要求されたようです。
米国当局の本気度が窺えますね。
今回はユニクロの件がニュースになっていますが、この差し止めが行われた2日前に、米国税関国境保護局から下の発表がされています。
綿じゃなくてトマトも、ということですな。
綿とかトマトっていうのは、アメリカの主力輸出農産品でもあるので、そういう国内政治的な要因もあるのかもしれませんな。
それはともかく、アパレルや食品関連企業は、発表を受けてある程度、対応をしてきていると思いますが、よりきちんとした対応を迫られることになりますね。
裁判で、「疑わしきは罰せず」というものがありますが、これは、性善説やブラックリスト制(リストに載っていない人は問題なしとする)と根底は同じ考え方です。
ダメな場合だけアクションする、ということですね。
しかし、こと安全保障に関しては、これとは反対の性悪説やホワイトリスト制で運用されることが多い。
良いと判断されたものしか許さない、というスタンスですね。
今回は経済面での話ではありますが、かつてあったココム規制のように、経済と安全保障というのはリンクする場合が多く、安全保障と同じような考え方で運用されるケースが多いですな。
2019年に、韓国との間で半導体関連製品のホワイト国リスト除外に関する問題が持ち上がりましたが、あれも同様。
ちゃんと届けや申請をして、ホワイトと認められなければ許されないわけですね。
で、今回のことも、新疆綿を使っていないとちゃんと証明できなかったから輸入差し止めされたわけですが、ここには、日米当局の姿勢も若干絡んでいるのかもしれません。
日本は、かつて銀行が護送船団方式と呼ばれたように、親切に手取り足取り教えてくれる場合もあって、割と面倒見がいいんです。
一方のアメリカは、連邦政府が通達を出すと、それを守る為に民間が当局に問い合わせて、規制に合わせて行く形。
当局は、民間が自ら規制を守るのは当たり前というスタンスで、実際のモノの動きに対して良いか悪いか判断するのが仕事です。
この辺り、ユニクロ、ファーストリテイリングの認識が甘かったのかもしれませんね。
日本的な緩さを無意識の内に期待していたのか、それとも、アメリカの中国に対する厳しさを読み違えたのか。
さて、この動きを受けて、テンセント絡みで注視対象と名指しで言われた楽天や、一時より薄くなったとは言えアリババと繋がりが濃いソフトバンクなどは、今後どう動くんでしょうか。
どちらも通信会社を持っていますからね。
通信は、それこそ安全保障と密接な関わりがある分野。
アメリカが絡み、一筋縄では行かないのかもしれませんね。
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