2020年5月29日金曜日

バンブーカーテン

バンブーカーテン。
そのまま竹のカーテンという意味ですが、かつての鉄のカーテンと同様、分断のカーテンです。
竹、つまり中国をイメージした、対中国のカーテンですね。
中国共産党は28日、近年ずっと続いている香港の民主化運動に、より強力な制圧力の根拠となる、香港国家安全法の制定方針を採択したわけですが、これがバンブーカーテンのダメ押しになりそうな気配ですね。
香港は1国2制度の下、自由主義陣営から特別な待遇を与えられていましたが、この法律が可決、施行されると、香港も中国本土並みの人権抑制体制となる可能性が高く、アメリカを筆頭とする自由主義陣営はこれを許さないでしょう。
これに伴い、金融センターとしての立場も終わりそうです。
つまり、中国の集金機能を担っていた窓口としての役割も終わるわけですから、今後、中国が世界からお金を集めるというのが難しくなってきそうですね。
まだ米中貿易摩擦とメディアで報道されている頃から、新潮で連載を持っている鈴置さんは、アメリカは中国の覇権主義を潰すつもりだと断言されていましたが、コロナ騒動も手伝い、いよいよその可能性がかなり高まってきました。
この辺り、時勢をよく観察しているだけにさすがですね。
報道されているニュースでも、今のこの状況を表す事実が出てきています。
次世代の半導体製造でトップを行くTSMCが、アメリカに工場を造るというのもそのひとつ。
 
台湾TSMC、米に半導体工場 米中覇権争いのカギ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59137730V10C20A5MM0000/
 
もともとアメリカが工場の誘致を仕掛けていた案件ですが、この工場建設により、アメリカが主導する体制に入ることが確実で、ECRA法等の規制から中国の案件をほぼ請け負えなくなります。
つまり、5Gのサプライヤーであるファーウェイを始めとする中国半導体メーカーは、自社で設計、製造をしなくてはならなくなりました。
しかも、その設計のツールはアメリカ由来の技術ということで、それも回避しなければなりません。
ファーウェイは5G網の機器すら揃えるのが難しくなりそうで、かなり厳しいですね。
また、グローバルファウンドリーズの中国工場閉鎖も、同じライン上の話でしょう。
 
GFの中国成都の300mm工場、量産を始めることなく閉鎖 - 中国メディア報道
https://news.yahoo.co.jp/articles/e2d437afb2445bdf09dd09a7c24db9eb04ec54a8
 
こちらは1度も生産しないままの撤退ですから、大きな痛手ですが、それほどの圧力があったということですね。
コロナ騒動がまだ落ち着いていない中、国際情勢は着々とアフターコロナの体制へと移行しつつあるようです。
しばらく、目が離せませんね。
 

2020年5月24日日曜日

検察庁法改正案のあれこれ

検察庁法改正案について、ドタバタが続いていましたが、結局、お流れになりましたね。
大山鳴動して鼠一匹・・・とまでは言いませんけど、賭け麻雀が発覚して黒川さんが辞任、その麻雀の相手が産経新聞の検察番と朝日新聞の元検察番というのでは、右も左も馴れ合い発覚で誰の得にもならず、鼠花火がフラフラっとあらぬ方向に走ってパンと破裂したような印象ですな。
賭け・不要・不急・密・密・密で6翻跳満か。
ってやかましいわ!
冗談はさておき、騒動の中で、ツイートが発端でバタバタしたことに対して、ちょっと違和感が。
ある程度SNS等を使ったことがある人にとっては常識だと思うんですが、メインアカウントとサブアカウントの使い分けだけではなく、アカウントの売り買いや、ツイート数やいいね数の請負などもある世界ですから。
それなのに、ツイート数がこれだけあるといったような話が、ワイドショーならともかく、国会や報道番組でこれ見よがしに出されるのは、ちょっといただけないですね。
ネットリテラシーがどうこう言われる時代に、この人たちはネットリテラシーが無いんか?と思ってしまいました。
選挙という民主主義の道具があるわけですから、不確かな数を元に議論を展開するのはいただけないですね。
 
それともうひとつ。
検察の定年延長についてですが、個人的にはどちらでも良いとは思います。
他の公務員に定年延長があるのなら、検察官も定年延長しないとフェアではないとは思いますが、ぶっちゃけた話、そこまで興味がありません。
公務員自体が待遇としては恵まれていますし。
ただ、システム監査担当を務めている人間としては、検察の人事権は法律上は行政を司る内閣にあるのに、慣例上は検察内部にあるというのはどうなんですかね。
大阪府の吉村知事が、選挙という国民の選択で選ばれた内閣が人事権を行使する方が良いというような事をおっしゃっていましたが、システム監査担当としてはその意見に同意します。
確かに、内閣が定年延長権を持つと内閣の意に従う検査官が総長の立場に就く懸念というのはあるでしょう。
検察が中立である必要の為に、内閣が定年延長権を持つのは良くないというのも理解できます。
ただ、検察が本当に中立なのか?という議論は必要なんじゃないかと思いますね。
今までの検察官すべてが清廉潔白の中立であったか?という話なら、実際に犯罪に手を染めた検察官もいるように、必ずしも清廉潔白の人物ばかりとも言えないし、そもそも個人にはその経験から来る思想や色があり、政治的に中立というのも幻想です。
その政治的な色が濃いか薄いかだけでしょう。
時の政権に近しい人物がそこそこのポストにいないと、上の懸念が実現してしまう可能性は無いわけですが、それはつまり、検察庁が採用し、検察庁が育成するのに、政治的中立にならずにそういうムラが出てくるという話ですからね。
各人、それぞれ色があって当たり前で、当然ながらそれは人事方針にも何らかの影響は及ぼします。
すなわち、2度目ですけども、政治的に中立というのが幻想であるわけです。
長々と説明しましたが、要するに、検察内部で人事が完了していても、望まざる人物が一定のポストに就く、すなわち人事システム的にエラーを起こすリスクは存在するわけですね。
そのことが議論からまるっきり抜け落ちているのは、なんか片手落ちですな。
庶民から見ると、内閣が近しい検察官を優遇するのも、検察内部の人事システムがエラーを起こすのも、はっきり言ってリスク評価としては大して変わりません。
何なら、下手な事をすれば選挙に負ける内閣は衆議院の任期4年が懸念する期間の最大と言えますが、検察はそういう縛りが無いわけですから、長い時間を掛けてやりたい放題できるようになってしまうのは検察かもしれませんね。
ここのところ、法曹界独自の理論で裁判員裁判の判決が覆る例が多いですから、その辺りは裁判官も検察官も、色々な感覚が庶民とは離れていても不思議ではありません。
 
どちらにしろ、法律的に根拠の無い慣例的な運用は、システム監査担当をやってる人間としては気持ち悪いですな。
法律に従って内閣がきちんと人事権を持つのか、それとも慣例を追認して人事権を検察に持たせる法律を通すのか、どちらかにしてほしいものです。
できれば、ある程度掣肘が利く仕組みでね。
そういう意味で、内閣が人事権を握るほうがすっきりします。
そういえば、今回の騒動ではっきりしたことがありますな。
これは評価すべきかもしれません。
それは、
テンピンは合法!
俗にいう黒川基準ですな(笑)
法律的には、一時の娯楽に供するものならば賭博罪に問われませんが、テンピンの賭博麻雀ならOKと。
あと大事なのは、「一時」の定義かもしれません。
黒川さんのように、月1~2回ならOKというわけです。
額は一緒でも、生業、つまり商売としてやると確実に賭博罪になりますからね。
ま、取り締まる側の検事がやるのは、もちろん問題外ですけども(^^;)
 

2020年5月16日土曜日

鹿児島熊本ツーリング その10

前回のあらすじ
 
18年前の落穂拾いは快調に進むのである。
 
さて、隈之城の北は、いよいよ薩摩川内市の市街地です。
意外と知られていませんが、薩摩川内に国分寺町という場所があるように、薩摩国の国府が置かれた土地でした。
古い時代から割と重要視されていた土地なんですね。
川の水運が重要な大規模運搬手段だった時代には、川内川の水運は、現代の高速道路に匹敵するほど貴重で、人や物を運ぶ要だったはずです。
当然ながら時の権力者からも重視され、薩摩大隅日向三ヶ国の守護であった島津氏も、南北朝時代は川内の碇山城に本拠を置いていました。
さて、隈之城からその川内市街へは、わずかに北に1.5kmほど。
正に目と鼻の先ですな。
二福城からは、九州新幹線の東側へ回って北上し、平佐小学校を目指して行きます。
この平佐小学校こそが、秀吉の九州征伐の時に桂忠昉率いる4百が秀吉軍8千を相手に全く引かずに激しい籠城戦を演じた、平佐城の跡なんですね。
平佐城は、現在の川内駅を含む範囲にあった城で、平佐小学校は二ノ丸にあたり、川内駅付近が三ノ丸の範囲です。
ただ、本丸は住宅街になってしまっているのが残念ですね。
住宅地は郭跡らしく割と平坦な地形でしたが、遺構らしきものは見当たりませんでした。
今回、小学校に城址碑があるという事が分ったので、それを見に来たわけです。
やはり、城址碑を見ないと、訪れた!っていう区切りが付きにくいもんですな(^^;)
 
 
小学校の近辺を散策してみると、小学校と駅、それから本丸跡の住宅地が丘陵になっているのが解ります。
兵4百という少数で籠ったということですので、この3つの主郭部分以外に出城的な郭があるほど拡張されていなかったのかもしれません。
また、南九州特有の群郭式と呼ばれる深い堀の痕跡も見当たりませんでした。
堀跡が道筋として痕跡が見えたりするもんですが、全体的に割と平坦。
埋められたのか、元々そうだったのか、後は想像するかタモリさんにブラブラしてもらうしかないですねぇ
 
平佐城周辺の散策が終わった頃は、もう夕景になりつつありました。
このまま宿を取っている出水に向かうか、欲張って城巡りをするか迷いましたが、欲張って東郷まで足を延ばすことに。
東郷という土地は、北薩摩に勢力を扶養した渋谷氏の一族である5つの家のひとつ、東郷氏の本拠地です。
とは言っても、薩摩の各地では下り衆と呼ばれる関東の武家と在地豪族との間で争いが起こったんですが、この東郷でも在地豪族の郡司であった大前氏が東郷を支配しており、それに挑戦するような形で東郷氏が勢力を拡張し、やがて拠点としました。
こうして、有力な国人として成長した東郷氏。
東郷という姓は、東郷平八郎など、近代史のほうが有名かも知れませんが、戦国時代でも渋谷五族という形で歴史上に登場しています。
目指すのは、その東郷氏が本拠としていた鶴ヶ岡城。
ただ、東郷氏の本拠とは言っても、築城自体は大前氏の時代であったようです。
その東郷へは、川内川を国道267号線で遡って行けばすぐ。
鶴ヶ岡城があるのは、小さな東郷市街の北東です。
ただ、現地に城の案内が無いもなければ、遊歩道も無い・・・
ネット上に何らかの報告書が出展と思われる詳しい周辺図があったので、城の位置は間違いないと思うんですが、どうにも入る術がありませんでした。
迫る日没に焦りつつ、バイクでも、徒歩でも、周囲を3周ぐらいしてみましたが、見付けられず(> <)
本丸のちょっと南側に、土砂崩れなのか、工事なのか、大規模に削られたような跡があり、もしかしたらそこから以前は入れたのかも知れませんね。
残念ですわ。
遺構として見えたのは、下の空堀跡と思われる部分のみ。
 
 
ここに突入してみたんですが、例の削られた跡に行き着いただけでした。
城の北側には民家があります。
 
 
民家の奥に見えるのは、本丸の北側切岸だと思われます。
ただ、見知らぬ人の家から直登するわけにもいかず・・・断念!
 
鶴ヶ城を後にする頃には、すっかり陽も沈み、薄暮が広がって来ていました。
宿を取っている出水へは、まだまだ距離があります。
頑張って走らねば。
宮之城の虎居城に未練を残しつつ、国道267号線から国道504号線へと入り、北薩横断道へ。
この横断道へ向かう道が真っ暗で、ガンガン上っていくんですな。
昼間に来たら面白そうな道ですが、この季節の陽の暮れた時間だとちょっと寒い。
秋の夜風にやや凍えながら、山塊を突き抜け、一気に高尾野へ。
もうここまで来れば、出水の市街地はすぐそこです。
ファミレスで隣席に陣取っていたかしましい地元のJKの方言を満喫しつつ食事を済ませ、宿にチェックイン。
泊まったキングホテルは、温泉のあるホテルで、なんとカップラーメンとミネラルウォーターが付いていました。
さらに、頼みませんでしたけど、オーダーすれば夜食におにぎりも付くみたい。
こんなに安く抑えてあるのに、こんなにおまけが付くなんて、びっくりのサービスですわ。
仕事で泊まったなら、色々節約になって有り難いやろなぁ
 
つづく
 
参考:
平佐城
鶴ヶ岡城
地図付きはこちら
 

2020年5月11日月曜日

長良川の合戦

大河ドラマで、前半の最大の見所である長良川の合戦が終わりましたね。
本木道三、さすがにちょっとかっこよ過ぎるとは思わないでもないですが、独特のクセがあって良かったですね。
あの髭も個性が強くてGood。
対する斎藤義龍こと伊藤高政。
伊藤さんの演技は良いんですが、如何せん、年齢がちょっとネック。
長良川の戦いの5年後に病没した義龍の享年は35。
つまり、この戦いの時は30歳ということになります。
若さゆえに新しい視点を持ち父と激しく対立する、という部分がやや描き切れていなかったように感じました。
見た感じ、元木道三と伊藤高政では兄弟ぐらいに感じてしまうので、ちょっと近すぎましたね。
光秀と同学という設定なので、光秀役の長谷川さんの見た目に合わせたのかも知れませんが。
 
ところで、長良川の合戦では、明智党は道三方に与したのは間違いないのですが、主人公たる光秀自身の姿は史料からは追えません。
光秀自身、明智の生まれかどうかも分かりませんから、当然ではあるんですがね。
また、今回の麒麟がくるは、道三の2人の後継者として信長と光秀を描いたかつての国盗り物語を踏襲したようなストーリーになっていますが、一部、新しい史実をちゃんと埋め込んでいます。
なので、長良川の合戦までは国盗り物語の新解釈リメイクといった観がありますな。
国盗り物語からアップデートされた史実、定説というのは、まず、道三の成り上がりが1代ではなく2代であったこと。
最後に伊藤高政も言い放っていましたが、「油売りの息子」という言葉が何度も出て来ました。
それから、義龍が弟たちを謀殺した場面。
過去の通説では、家督を譲った道三は鷺山城に隠退したということになっていましたが、信長公記では稲葉山城に住んでいたと記されており、ドラマもこれに従ったようです。
それぞれの史料の評価により、信長公記の説の方が有力となっているようですので、それに従ったのでしょう。
次に、義龍が道三の息子ではなく土岐頼芸の落胤であるという説の否定。
これは、江戸時代に流布された話で、元々が信憑性に欠ける説ではあるんですが、そのことについて、ドラマの登場人物が明確に肯定する場面はありませんでした。
つまり、ドラマの中でも、義龍の根拠の無い思い込みという事になっていますね。
ただ、史実の義龍を見てみると、一色氏の出身という説がある母深芳野との繋がりからなのか、一色姓を名乗っています。
歴史上の義龍が、もし本当に頼芸の子と思っているなら、大義名分的に土岐を名乗ったはずですし、権力を握った後は頼芸を保護したでしょう。
正統性の何よりの証明になりますから。
ところが、頼芸が美濃へ戻ったのは武田氏滅亡後の天正10年(1582)で、義龍が連絡を取った形跡もなさそうです。
史実からは、義龍が頼芸の息子という認識であったことは窺えないんですね。
ただ、父殺しについては、何らか感じていた形跡がチラホラと見え隠れします。
この事は、逆に言えば道三の息子という自覚を持っていた証左なのかもしれませんね。
頼芸の息子として逆臣道三を討ったのならば、大義名分的に考えて、父殺しの事には触れないでしょうから。
ただ、この頼芸落胤説に関して、ドラマはちょっと詰めが甘かった。
長良川の合戦で、本木道三が掲げたのは道三考案の二頭波頭の旗印。
二頭波や立波とも呼ばれ、道三を象徴するモチーフです。
これに対し、伊藤高政が掲げたのは旗印は撫子。
撫子紋と言えば、美濃斎藤氏の紋です。
つまり、高政はなんだかんだ言って斎藤氏として出陣したことになるんですね。
そこは土岐源氏の桔梗紋やろ!
思わず画面に突っ込んでしまいました(^^;)
「我が父は土岐頼芸様・・・」とか何とか言いながら、立ち位置が道三の後釜たる斎藤氏ってどないやねん!
それでも、ドラマには満足しましたけどね。
道三といい、明智党といい、滅びの美学なんですかね。
涙腺が緩んでしまいますな・・・
 

2020年5月7日木曜日

銀行の手数料

少し前ですが、こんな記事が出ていました。
 
公取委:銀行間手数料維持の現状、是正が必要-フィンテックで報告書
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-04-21/Q94KKWDWRGG201
 
銀行間手数料がコストを大幅に上回っていて、40年間も変わっていないことを公正取引委員会が指摘したという記事ですね。
昔みたいに、金融決済を人の手で処理して時間も人件費も掛かるという形態ではもう無いですから、当たり前の話でしょう。
あと、個人的に思うのは、全銀協の全銀システムを使った時の通信料がバカ高いこと。
確かに安全性は金融決済において非常に大事ですが、光ファイバーが業務用ですら珍しかった昭和の時代の通信料金の感覚を、家まで光ファイバーが来ている今の時代まで引きずっているように思います。
維持するサーバーもネットワーク機器も、それはもう劇的に高機能化かつ低価格化してますからね
 
昔に比べ、社債やクラウドファウンディングなど、直接金融の手段が多様化しており、銀行の役割や機能は縮小傾向にありますが、これからは電子決済が非常に多くなってくるはずなので、その中心たる銀行もIT技術を使ってコスト削減に努めてもらいたいところです。
少なくとも、銀行内部ではフィンテックの進展によって超絶な人余りが発生すると言われ、実際に人員削減の動きも出ていますから、その合理化、IT化を外部にも柔軟に適用して、利用しやすい環境を整えてほしいですな。
通信企業や流通企業といった他からの進出によって、金融の囲い込みが激しくなっている中、より安く、より手軽に利用できるようにしなければ、旧来の銀行という業態が庶民から不要とされる時代が来かねませんしね。
 

2020年5月2日土曜日

2020年度補正予算成立

10万円の一律給付や、中小企業や個人事業者に給付する持続化給付金などを盛り込んだ補正予算が成立しました。
当初は世帯主に30万円を給付する案でしたが、それが国民全員に一律10万円を給付する案になり、やや右往左往した感じがありますね。
とは言っても、世界的に見ると、相当強力な給付金ということが言えます。
そもそも、一律で給付金を配る国というのはほとんどありません。
給金を支給するのは、基軸通貨を持ち、実質的にお金を刷り放題と言われるアメリカが筆頭ですが、そのアメリカですらも、所得による給付制限があります。
生まれたばかりの赤ん坊でも給付してくれる、日本の給付金の強力さが解りますね。
また、30万円の話が出ていた3月末頃に流布された内容に、各国の給付金の内容がありましたが、今の時代ですから、在住の方々からリアルタイムで否定のツイートなどがありました。
当初に流布されていた内容は、デマであったり、条件があったりと、日本と比べて特別に優遇されている内容ではありません。
ただ、フリーランスを含む労働者や企業に対する給付やつなぎ融資のようなものは、日本よりも充実しているようです。
この辺り、日本にもそこそこ使える施策はあるのですが、日本政府の広報が下手というのもありますし、メディアがそのような地味に役立つ情報を流したがらないというのもあって、いまだに遅い、めんどくさいというイメージが先行してしまっているように思いますね。
特に無担保無利子融資などは、いつでも返せるわけですから、このような緊急事態には色々な場面に備えて手元キャッシュを厚くしておくという方針は鉄板で、借りておくべきだと思います。
 
あと、もうひとつ、このような遅い、煩雑というイメージの原因として思い当たるのが、マイナンバー。
世界では、総国民番号や社会保障番号といった名称で、日本のマイナンバーと同じような制度が早くから普及しています。
これがあれば、色々な参照や手続きが迅速にでき、給付金や補助金の支給までが早く済むんですね。
紙ベースの手続きが煩雑で遅いという問題は、これでかなり解決します。
しかし、日本ではマイナンバーカードへの関心は薄く、普及率は7~8人に1人という程度でしかありません。
また、マイナンバー制度自体も、国民総背番号制が提唱されてから遅れに遅れました。
戦後の日本政府には、戦前の反省もあってそれほどの強権が与えられておらず、また、国民も政府に強権を与えない選択をし続けてきたわけですね。
その選択の延長線上にあるのが、ロックダウンという強制力を法的に持たない政府と、マイナンバー制度の遅れと言えるでしょう。
ロックダウン自体は、治安維持という名目でできないことはないとは言え、通常の法運用の範囲では日本政府には不可能です。
もちろん、欧米と比べれば、現状でそこまでの状況には至っていないとうのもあるんですが。
マイナンバーに関しては、住基ネットの頃から、番号で国民が監視されるというような論調はたくさんありました。
便利さとセキュリティというのは往々にして相反するものですから、そこの議論はあって当然ですが、セキュリティを重視する選択傾向が高かったというのは、戦前の政府イメージを引きずったからのように思います。
ただ、ここに来て、その遅れが弊害として出た形となりました。
しかしながら、それも民主国家の主権者たる国民の選択の結果ですから、遅いだの煩雑だのという議論は、やや筋が違うとは思いますね。
 
今後、新型コロナウイルスの害が落ち着いた後、メリットデメリットを総括して、欧米国家並みの強権を政府に与えるのか、はたまた与えない方がいいのか、議論が必要だと思います。
必ずしもどちらが良いという話ではないのですから。
何より、早く落ち着いて欲しいですね。
そして、ツーリングに行きたい!!