2022年10月3日月曜日

東部4州併合

先月30日、ロシアがウクライナの東部と南部の4州の併合を宣言しました。
先立って行われた住民投票により、住民の意思が示されたということを根拠にしています。
東部のドネツク、ルハンシクの2州、さらに遡ればクリミア半島でやったのと同じ手法ですね。
ただ、武力による占領地域である上、州全体を占領しているわけでもないので、上の3つの地域の場合と比べてもかなりお粗末で、茶番という言葉がこれほど似合う状況も珍しい。
プーチン大統領にとって、一番の成功体験がクリミア半島なんでしょうが、後の地域は泥沼化しており、どちらかと言えばクリミアがうまく行き過ぎたのかもしれません。
併合発表の翌日に、補給線の要である要衝リマンが陥落したのが象徴的でしょう。
リマンの陥落は、軍事的影響もかなり大きいですが、時系列的に政治的外交的にも非常に屈辱的な状況と言えます。
また、本当かどうか分かりませんが、宣言のセレモニーまで撤退を禁止する命令が出ており、その為に撤退が遅れて損害を大きくしたという話もありますので、事実を確認する術は無いですが、もし本当なら笑うに笑えませんな。
 
さて、この数週間で大きな動きが色々とありましたので、ちょっと時系列を整理してみますか。
起点となるのは、やはりウクライナ軍の歴史的な大進撃でしょう。
 
・9月上旬  ハルキウ周辺などでウクライナ軍の大進撃
・9/15~16 上海協力機構でのプーチン大統領の待遇が低下
・9/21   ロシアにて予備役の動員令
・9/23~27 ロシア占領地域での住民投票
・9/30   プーチン大統領が4州の併合を宣言
       国連安保でのロシアへの非難決議を拒否権を行使して否決
・10/1   要衝リマンの陥落
 
ロシアは、9月上旬の大敗北によって、春以降に積み上げてきた戦果の大部分を失いました。
時系列でみると、これに対応する戦力の補充と、政治外交的対策というのがよく解ります。
ただ、動員令は、その施行のまずさもあって、ロシア国内に動揺をもたらした為、今後、プーチン大統領の政治的基盤の弱体化をもたらす危険性がありますね。
また、上海協力機構での各首脳との会合では、今まで人を待たせる常連だったプーチン大統領が逆に待たされるなど、明らかに地位の低下が見て取れました。
軍事プレゼンスにおいても、アルメニアとアゼルバイジャンの争いを抑えることができなくなっていたり、中央アジアでのCSTOという集団安全保障体制にもガタつきが見られたりと、ロシアの地位の劇的な低下が見られます。
国際情勢というはダイナミックなものですな。
僅か半年でこれだけ動いてしまう。
戦国時代にも、盟主的地位にあった大きな大名が、あれよあれよという間に没落してしまう場合がありましたが、今、それを目撃しているのかもしれません。
 

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