2022年10月20日木曜日

半導体を巡るアレコレ

あれだけ不足が叫ばれていた半導体において、需給の緩みが強くなってきているようですね。
半導体メーカーの業績の下方修正が出てきているというのは、以前にチラっと触れましたが、それが予想よりも大きなものになるようです。
ただ、どの世代の半導体によるかで、需給はずいぶん違いますな。
余っているのは、最先端プロセスクラスの半導体。
このクラスについては、ずっと旺盛だった暗号資産のマイニング需要が急減したことにあります。
相当な割合を持っていた中国のマイニングが突然禁止され、更に各国のテーパリングによって溢れていた投資マネーが逆回転し始めたことによって、暗号通貨に回るお金が少なくなりました。
さらには、現実通貨であるドルの金利上昇によって、暗号資産の魅力が薄れたのもあるでしょう。
なんだかんだドルは最強ですから、安全な通貨でそこそこの利率が見込めるというのは大きい。
半導体メーカーは、旺盛だったマイニング需要に応えるように、また、利益率も良かったですから、今まで大きな投資をしてきていましたが、それが裏目になったと言えるでしょうか。
ただ、半導体業界は5年やそれ以上の周期で巨額投資と巨大な損失というのを繰り返していて、今回も平常運転と言えば平常運転かもしれません。
一方で、相変わらず逼迫が酷いのが、世代の古い半導体。
こちらは、高級な最先端プロセスとは違って一山いくらの旧世代の半導体ですから、最先端プロセスの半導体需給が緩んでも、じゃあ古いのを生産しようかとはなかなかならない。
単価が安く、利益が見込みにくいですからね。
一口に半導体と言っても、世代によってバラバラの状況で、なかなか難しいもんですな。
古い世代の半導体は、色んな製品に影響が出ていますから、供給が早く増えることを願っています。
 
そして、半導体絡みで気になるニュースが2点。
ひとつは、中国国内のアメリカ人半導体技術者についての規制が強化されたというニュース。
 
 
単純に言えば、技術者に対して、中国から撤収するか米国籍を放棄するか、という厳しい選択を迫っています。
これは、記事にもありますが、半導体メーカーにいる技術者だけではなく、その製造装置の保守技術者も含みますから、早晩、生産自体が困難になる可能性がありますね。
実際、下のようなニュースが出ており、中国の半導体メーカーの先行きが非常に不透明です。
 
 
もうひとつの気になるニュースは、笑い話のようなものなんですが、ロシアが中国から輸入した半導体の不良率が、2%から40%に跳ね上がっているというニュース。
 
 
元々の2%もどうなん?という感じですが、40%は製品として成り立っていない異常なレベル。
表面的には、ロシアの足元を見た中国商人があくどいことをしてるという話なんですが、そもそもの製造現場において、すでに歩留まりの悪化が結構なレベルになってしまっているのでは?という疑念を抱かせます。
今後の展開を考える上では、1つ目のニュースが重要とは思うんですが、どちらかと言えば2つ目の記事の裏側の方が、個人的には気になりますね(笑)
 

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