2021年3月26日金曜日

欧州から中国への制裁

先日、EUが中国の進める新疆ウイグル自治区に対する人権弾圧に対抗し、新疆生産建設兵団公安局に対する制裁を発表しました。
これは、天安門事件に対する制裁以来、32年振りの措置です。
天安門事件は教科書に出てくるほどの事件ですが、現状がそれに匹敵する状態という認識なんでしょう。
人権問題を強く意識する欧州の、中国に対するこの認識については、今後の動向を考える上で非常に重要な事項になります。
人権の問題を絡めた外交問題は、やたらと長引く傾向がありますからね。
制裁を受ける中国にとっても、ウイグルの件は内政問題との認識ですし、圧力に屈しての立場の変更は、一党独裁を揺るがす事態に進展する可能性すらありますから、そう簡単には受け入れることができないわけです。
昨年末に、ドイツが前掛かりとなってEUと中国の間で駆け込み合意した包括投資協定も、元々、人権問題に関する疑念から欧州議会の各会派は後ろ向きでしたが、この制裁発動を受けて批准がどうなるか分からくなりました。
また、この制裁に同調して、アメリカとカナダ、イギリスが同じく制裁を発表しており、欧州だけではなく、欧米対中国の様相が深まってきましたね。
これに先立って行われたアメリカと中国の2+2会談でも、異例とも言える非難の応酬があり、トランプ政権からバイデン政権に代わってどう変わるか注目されていた米中関係も、人権問題がより強く加味されたことで、益々折り合いがつきにくくなった印象ですね。
トランプ前大統領は、政権末期は人権問題も非難していましたが、基本的にはビジネスマンらしく商人的スタンスであったのに対し、バイデン大統領は王道リベラルの立ち位置ですから。
しかしながら、中国の覇権主義を見過ごしてきたのも、バイデン大統領が副大統領を務めていたオバマ政権時代ですから、大統領自身にも責任の一端はあると言えます。
ネット上の素人評論家でさえ読めていた今の状況を読めなかったというのは、政治的なセンスの無さの顕れでもあるんですが、今後の交渉で挽回を期待したいですね。
 

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