今日、中国全人代で香港国家安全維持法が成立しました。
このことは、香港に関する問題だけではなく、米中、または旧西側諸国と中国の間で、間違いなく分岐点になる出来事なんでしょうね。
いや、分岐点と言うよりも、容易に想像ができた既定路線の中の大きな区切り、つまりただのマイルストーンと言った方が正しいのかもしれません。
1997年7月1日に香港がイギリスから中国へ返還されるということが確定した1984年の共同宣言の際、当時のトップだった鄧小平が、香港特別区の高い自治性の維持を約束し、50年間に渡って社会主義政策を香港に適用しないということを約束しました。
これにより、現在の一国二制度の骨子が定まり、途中で天安門事件を挟みつつも、ソ連の崩壊などもあって融和的な環境が整い、約束通り1997年に中国へと変換されたんですね。その後、中国のWTOへの参加もあり、旧西側の自由主義諸国は中国が徐々に自由化、民主化して行くものという幻想を抱いたと思います。
しかし、WTOの自由主義体制に参加しつつも、完全に貿易の障壁を取り払わずに美味しいどこ取りの状態のままで、更に習近平総書記の就任以降は覇権主義を隠そうとしなくなりました。
そして、香港についても、約束された50年の半ばすら超えずに中国化を進めて行くわけです。
ここ数年はそうでしたが、このことは旧西側諸国の、中国は変わるだろうという幻想にいよいよとどめを刺した可能性がありますな。
これに敏感に反応しているのがアメリカで、数日前から中国当局者のビザの制限を始め、軍事装備品の輸出停止を発表しており、以前にトランプ大統領が表明していたように、香港に対する優遇措置は次々と停止されて行くでしょう。
まして米中対立の最中で、米国原産の技術について非常に厳しい締め付けを始めていますからね。
交渉や緩衝の余地がほぼありません。
今後、中国向けの金融窓口として機能していた香港は、試練の時を迎えるでしょうね。
中国も、もう旧西側からの幻想が無い分、美味しいとこ取りはできず、このままであれば、西側の技術系統から徐々に離れて行かざるを得ないかもしれません。
コロナ禍の中、各国共に余裕が無くなっており、いよいよ国際情勢も目が離せなくなってきましたな。
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