政府が、1世帯当たり布マスク2枚を配布することを発表しました。
ネット上では、アベノマスクなどと揶揄されています。
しかし、個人的には、ストックのか細くなった我が家の状態を見ると、そんなにアカンことか?と思うんですよね。
まず押さえて置かなければならない点は、N95マスクでなければ、マスクをすることによる予防効果があまり無い点。
これはいくつかの調査を元にした論文があり、そこからの推測なんですが、やはり顔とマスクの間の隙間を0にできないことと、マスクの正しい使い方をできていない人が多いからだと思われます。
新型コロナウイルスは紙の上で24時間程度は壊れないとの報告がアメリカから出ていますが、マスク表面に付いたウイルスを、マスクの位置修正の際などにマスク表面を触って手に付着させてしまい、その手で顔を触って感染させてしまうことが考えられますね。
マスクを通して息を吸えば、換気扇のフィルタを想像すれば解りますが、マスク表面に周囲の飛沫を集める事になります。
もちろん飛沫自体はマスクの表面で止まりますが、呼吸を繰り返すと表面に飛沫が凝集されますから、その表面を触った手というのは、ドアノブを触って飛沫が付いた手よりも危険かもしれません。
その手で顔を触った日には・・・
子供にはマスクをさせない方がいいとあるお医者さんがおっしゃってましたが、こういうことなんですね。
子供なんて、顔を含めてあちこち触りまくりますからねぇ
更にもうひとつ。
マスク着用群とマスク非着用群で感染症の拡がりを観測した調査があったんですが、こちらの調査ではマスク着用群で明らかに拡がりが抑えられていました。
想像通りというか、ひと昔前のマスクの使い方というか、キャリアが周囲の人に菌やウイルスを移さないという効果はあるわけですね。
ちょっとマスク自体の話になってしまいましたが、まず上の点は押さえる必要があります。
そして、今回の布マスク。
自分がまず思ったのは、使い捨てマスクの生産リソースを使わない点。
使い捨てマスクに関しては、早い段階から補助金を出しての増産要請が出ており、シャープやアイリスオーヤマといった所が新しく製造することを発表しています。
しかしながら、年間50~55億枚の需要の内、8割が輸入でしたから、国内で製造しようにもなかなか生産体制は整わないでしょう。
マスクも工業製品ですから、生産機械を買って設置しないと製造できませんし、工場にも清潔な環境が必要ですから、どこでもってわけにはいかず、生産できる工場を持っているメーカーは限られますし、製造開始までには相応に時間もかかります。
そこで「布」なんですね。
原材料が違いますから調達でかち合う事が無いですし、繊維に関しても不織布とは織機が違います。
更に、使い捨てマスクのメーカーは新規参入があるほどで増産余地が無いですが、布製品のメーカーには、他の消費が落ち込んでる今、リソースにまだ余裕があるわけです。
これを考えると、供給拡大が難しい局面でなかなか工夫された手だな、と思ったんですがね。
でも、ネットでは不評のようで(^^;)
これに関しては、報道のされ方にも問題があったように思います。
マスク2枚がやたらと注目されていますが、
・医療機関に1500万枚のサージカルマスクを配布
・更に追加で1500万枚を配布予定
・高齢者施設や障害者施設、全国の小学校・中学校向けに布マスク2000万枚の配布
があった上で、各世帯に2枚の布マスクの配布ですからね。
各世帯2枚とは言っても、5000万世帯ですから、1億枚になります。
数字を見れば、そこそこ確保できたんだなと思いました。
使い捨てマスクは、増産が一朝一夕にはできないことを考えて、使い捨てが原則の医療機関に優先的に回し、もし余れば市中に出す。
市中では当然ながら入手に濃淡が出ますから、布マスクを配布してカバーする。
そして、最初に書いたようにマスクで予防はあまり期待できませんが、社会全体として大きな飛沫の拡散を防止する為にマスク着用率を上げる。
こういうストーリーが見えてきます。
政治的に穿った見方をすれば、今後、非常事態宣言が発令された時に、マスクを配布しておけばマスク着用要請を出すことができる、というのもあるような気がしますが・・・
何にしろ、今回のは現実的な対応なんじゃないでしょうかね。
BCPと同じですが、非常事態には100%のサービスは確保できないですから、優先順位を付けて守るべきものは守り、サービス低下で耐え凌げるところは耐え凌ぐ。
運用運営に携わる人間としては、基本は同じなんだなと考えさせられました。
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