さてさて、問題の例の美味しんぼ。
問題以前からこの雑誌を愛読している自分は、否応無く読むわけですが、今週号の漫画の後には、寄せられた各意見が載っていました。
全体を読んで総評すると、影響があるとも無いとも断言できないけど、実際、鼻血を出した人はいるにしても、やっぱりちゃんとした調査を経ている国連科学委員会の報告が信ずべきところなのかな、という感じです。
鼻血が出たという報告があるという人と、無いという人に分かれているんですが、出るという人は周りにもいた、たくさん聞いたなど、ちょっと科学的な根拠が薄い感じですね。
人間というのは、自分の経験を世間全体に投影しがちな傾向があります。
そういう理由から、科学実験なんかでもそうですが、こういう追跡調査はサンプル数が正義みたいなところがあって、多ければ多いほど客観的に見ることができますし、突飛なデータも埋もれるので、正確になります。
また、そのサンプルはもちろん偏りの無いことが前提です。
で、鼻血が出るとする人は、そのサンプル数が多くなさそうだったり、母集団に同じような考えの偏りがあるように個人的には感じられました。
一方で、出ないとする人は、ちょっと驚きをもって「え?聞いたこと無いよ?」と言ってる感じですかね。
こういう状態になったのはあれが原因では?というのは、各意見の文中にあったように、後付けバイアスと呼ぶそうですが、鼻血は確かに当てはまりそうです。
集団催眠効果のようなことがあるのかは知りませんが、母集団が同じような考えの傾向だと、「そういえばこんな事も」となって、これが強く働くというのも実体験から容易に想像できます。
そういう部分から、やっぱりちゃんと追跡調査してる結果が一番だろうと。
ただ、個人的には、大阪のガレキ処理に対する作品中の言葉から、結論ありきじゃないか?という思いが強くなりました。
ガレキ処理をしたのは、大阪の舞洲の施設です。
舞洲のグラウンドで何度もサッカーをしたことがありますが、焼却施設はとてもカラフルな外観のところですな。
最初は、「こんなところにショッピングモールか!」と思ったぐらいのカラフルな施設(笑)
たしか外国人デザイナーのデザインか何かだったと思います。
で、その施設がある舞洲は埋立地で、周辺は工業団地。
そして、海を隔てて少し離れた所にUSJ。
そんな場所です。
住んでる人が皆無かどうかは分かりませんが、少なくとも普通に住宅があるという場所ではありません。
そんな場所なのに、「付近に住んでる住民1000人の内800人が何らかの不調を訴えた!」といっても、現地を知ってるだけに、「は?」としかなりません。
しかも、大阪で処理されたのは岩手のガレキで、福島のガレキよりよほど放射線が低かったはず。
そして、大阪市にもそのような苦情は上がっていない。
何か、いろいろ混ぜ混ぜして、印象を膨らまそうとしているような気がしてなりませんな。
放射線というのは、少量でも当たると細胞やDNAが壊れます。
これは間違いのない事実です。
また、ひと口に放射性物質といっても、ヨウ素のように人体にとって必須元素であったり、セシウムのように化学的にはほぼ無害という場合もあり、出てくる放射線だけが有害というパターンもあります。
つまり、放射性物質なら何でもかんでも恐ろしいのではなく、放射線についてしっかり理解しておく必要があるということ。
まず、この事はしっかりと押さえておかなくてはならないですな。
そして、細胞やDNAが壊れると言っても、壊れる数のレベルというのがあって、微量の放射線による破壊よりも、人体内で呼吸によって発生している活性酸素などによる破壊の数が相当多いという事実も知っておかないといけない。
その数というのは文献に詳しく載ってるので、調べればすぐに出てきますが、低線量の放射線による破壊と、人体内の通常生活での破壊数は、放射線による数が誤差レベルと言えるほど差があるものです。
この科学的な既知の事を踏まえた上で、放射能や放射線について反対するなり、対策するなりしてほしい。
放射線による影響が0じゃないから、とか、現実に事が起こってしまった後では机上の空論です。
起こった事をどうしようもない現実として認め、現実的に安全と考えられる閾値や数量を設定し、折り合いながらやっていくしかない。
現地の市町村なんかは、試行錯誤しながら情報公開し、よくやってると思うんですがね。
前記事にも書きましたが、そういう現場の現実を見る努力ってのが、理想ばかりを追いがちなリベラルな方々には不足している気がします。
織田祐二の演じた青島刑事じゃないけど、「現場で起こってるんだ!」というのを、もっと認識してほしいですね。
でないと、現場が積み上げた努力に水を差しかねない。
言うな、と言ってるんじゃなく、避難する人、戻る人、双方にとって議論の深まる提案の仕方ってのがあると思うんです。
もちろん、根本の原因となった事故の検証や責任は、もっともっと追求しなければならないのは当然の事ですけども。
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