現地時間の9日、アメリカで半導体支援法にバイデン大統領が署名し、成立しました。
これは、アメリカ国内の半導体生産や開発に支援金を出すもので、総額520億ドルという巨額なものです。
半導体生産の主役の歴史は、アメリカから日本、そして台湾や韓国へと移り、現在は中国が猛烈に投資してキャッチアップを狙っていますね。
ただ、中国での生産はうまくいっていません。
製造機械が予定通り入手できなかった為です。
元々、製造や設計に関する技術は、アメリカを始めとした西側の技術ばかりで、材料も西側で生産しているものが多いのですが、アメリカはエンティティリストに中国の半導体企業を入れ、それらを事実上の禁輸措置にしました。
これによって中国の半導体企業は、最先端プロセスが開店休業、いや開店前休業状態に追い込まれたわけです。
記事にしたこともありますが、これが3年前から2年前にかけての事。
以降、台湾への関与を強める政策が強化され、TMSCやサムスンもアメリカ本土への工場建設に合意しました。
生産コストの問題から台湾や韓国を使っていましたが、安全保障などの観点から、自国生産体制の再構築に乗り出したわけですね。
日本の韓国に対する貿易管理の強化や、熊本でのTMSCの工場建設も、この流れの中にある話です。
また、アメリカは米日台韓による半導体同盟も提唱しており、これも明確な締め出し策ですね。
あと、あまり報道されませんが、大事なニュースがありました。
8/1の記事ですが、輸出規制に掛かる対象を10nmから14nmにしたという記事です。
半導体は線幅によって技術的な世代が表せますが、最新の線幅は3nm。
10nmだと約5年前、14nmだと約7年前の技術ということになります。
ただ、DRAMに関しては、量産効率もあって古い線幅で作られていたりするんですが、14nmだと、それもすべて含まれそうですな。
これは、中国企業だけではなく、TSMCやサムスンの中国工場も入りますから、今後はDRAMの設備ですら増設や更新が難しくなるということ。
企業にとっては苦しいですが、本格的に米中選択の踏み絵の時が迫っているような感じですね。
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