これを侵攻とするかは、ロシア側か西側かの立ち位置で変わるとは思いますが。
振り返れば、ソチオリンピックの直後のクリミア動乱も似たような流れでした。
オリンピックが2014年の2/23までで、その閉会後のタイミングを見計らって2/27にロシアともクリミアの新露派ともいわれる武装集団が核施設の占拠に動き始めます。
そして、3/1にロシアは正式な軍投入を決定、17日には住民投票の結果を受けてクリミア議会が独立宣言とロシア連邦への編入を議決、翌18日ロシアによるクリミアの独立承認が行われました。
その後、ミンスク合意という停戦合意が結ばれ、クリミア半島を始めとするウクライナ東部の勢力図が固定化されたまま今に至ります。
今回も、その流れに近いですね。
独立承認が先に来ていますが、現地の親ロシア住民やロシア系住民を煽って機運を高め、それを利用する形で軍事力を進駐させるという形。
今回は、ウクライナ東部のドネツク州とルガンツク州という、ドネツ炭田を中心とした工業地帯ですから、もちろん地政学的な重要性というのはあるんですが、港湾を擁するクリミア半島と同様に、大ロシアを目指す上で強かりしソ連時代の郷愁といったものもあるのかもしれませんね。
ただ、ポイントとして、ドネツクとルガンツクに対してロシアが承認したのは、親ロシア派が実効支配する地域ではなく、両州全体であること。
つまり、親ロシア派やそれと協力するロシア軍が、今の実効支配から勢力を拡げる戦闘を行う可能性があることなんですよね。
西側の反発や制裁の程度によっては、今後も長引きそうな感じです。
さて、その西側諸国のロシアに対する制裁ですが、初報ではちょっと弱いですな。
米 - 親ロシア地域に対する取引等の停止
英 - 5銀行3個人に対する資産凍結や取引停止
欧 - 27の個人と団体に対する経済的制裁
独 - ノルドストリーム2の承認作業の停止
リスト化して見ると、ガスパイプラインであるドイツのノルドストリーム2が最も有効と思われますが、稼働前でもあるので、ロシアにとっては現状維持といえば現状維持。
また、資源高騰と供給不足に頭を悩ませるドイツにとっても、稼働延期は痛い話です。
また、しばらく前には、アメリカはSWIFTという国際銀行決済網から外すという手法もチラつかせてましたが、今回はそこには踏み込んでいません。
銀行決済から外すと、ドルのやりとりができませんから、ロシアの貿易は大幅に縮小しますが、当然ながらその相手先にも影響が及びます。
その相手先には、西側諸国、特にアメリカとドイツが多いんですよね。
お互いに経済の大事な所を握り合っている状態でどこまでの制裁を掛けられるのか、難しい判断ですな。
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