2021年6月20日日曜日

エルサルバドルの決定

先日、と言っても10日も前になりますが、エルサルバドルが法廷通貨にビットコインを加えることを決定しました。
 
 
壮大な実験ですね。
ニュースでも時折出ますが、ビットコインを含む仮想通貨や暗号資産と呼ばれるものは、どれを取っても騰落が激しい。
これを法定通貨としてどう使っていくか、非常に興味があるところです。
ただ、色々調べてみると、単純に仮想通貨を国家が利用するという、一般的に抱かれる漠然としたイメージとは、実情はやや違うようですね。
 
エルサルバドルがドルを法定通貨にしているというのは割と知られていますが、ドルを法定通貨にしているという事からは、自国の経済や財政が貧弱であるということが簡単に予測されますし、エルサルバドルの場合は実際にそうです。
貧困率は高く、治安が悪い。
悪いニュースとしてよく出てくる中米の国々の、典型的な姿とも言えますな。
経済を見てみると、人口が660万人と少なく、GDPは270億ドルしかありませんが、その内、2割が米国在住の移民からの仕送りとのこと。
ここに、仮想通貨の法定通貨化のひとつの理由がありました。
日本の銀行のイメージから言えば想像できませんが、貧困層の多い国では銀行口座を持つことが多くの人にとって難しく、その人たちへの仕送りには銀行間送金ができません。
そこで、送金を請け負ってくれる会社を使って送金するわけですが、この会社の手数料が高いわけです。
会社も、国境を通過させる手続きのほか、治安の悪い国へお金を運ぶわけですから、相応の報酬を要求するのは仕方ありません。
そこで、ビットコインが登場するわけですな。
ビットコインのライトニングネットワークという技術を使って送金すれば、数セントの手数料でエルサルバドルまで送れるわけです。
そして、エルサルバドル内でビットコインがそのまま使えるとなれば、仕送りに頼る貧困層にとっては、利便性が無茶苦茶上がるわけですね。
国にとっても、送金会社に取られていた手数料分がそのまま貧困層に渡れば、GDPの嵩上げに繋がります。
 
ただ、単純に流通する通貨量が増えることでインフレリスクは上がりますし、国内だけで完結する取引なら良いですが、国外との取引となるとビットコインからドルに変換する必要がありますから、ビットコインの変動リスクというのも抱え込まなくてはなりません。
それでも、これらリスク要因よりも、メリットの方が多いと判断したんでしょう。
この判断の成否は、3ヶ月後の実施から数年ではっきりしてくるんではないでしょうか。
マイニングの50%以上を行っている中国が、節電の為なのか、本格的に締め付けを強めている中での決定でもあり、1国の決定だけの影響を見定めるには外部要因が多すぎるように思いますが、結果には非常に興味がありますね。
しかし、国によって色々な要因が転がっているものですな。
 

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