2021年6月14日月曜日

最低法人税率の合意

1週間ほど前の6/5、G7の財務相会合で、法人税の最低税率についての合意がなされました。
税率は15%。
実現すれば、15%より低い地域で納税した企業に対し、15%との差額を追加で課税できるようになります。
日本の法人税やアメリカの法人税に比べればかなり低いですが、合意したことには大変意義がありますね。
ここでも何回か取り上げましたが、合意まで長い間掛かりましたな。
世界各国の間の移動障壁が減り、人やモノ、カネが国境を越えて容易に動くようになって以降、グローバル企業は、より安い国に人件費も利益も移すようになりました。
利益に関しては、世界の国々でチキンレースとも言える法人税率引き下げ競争が進み、タックスヘイブンを活用する企業も増える一方で、簡単に国境を越えられない各国の国民にしわ寄せが行く状況となっています。
今回の合意は、まだG7での合意ですが、これがG20の議論の叩き台になることは間違いなく、世界的なルール策定への大きな推進力になるでしょう。
 
また、別の合意として、インターネット等を利用した企業活動で得られた利益は、利益を得た地域や国で一定割合を納税するという事も合意されました。
これは、今でも一部で導入されているデジタル課税に関してのもので、最低法人税率に積極的なアメリカは、逆にIT産業が強力であるが故に反発していましたね。
今回、これについても、実現すれば利益率10%を上回る部分について課税できるようになります。
今は違いますが、日本でも、アマゾンが企業活動ではなく単なる倉庫と主張して納税せず、市場と流通インフラにタダ乗りしているとの批判がありましたね。
それが比較的知られるようになった事によって、楽天やヨドバシカメラしか使わないという人も出てきていましたので、アマゾンも売り上げのある日本に納税するという、現在の正常な形を選んだんだと思います。
 
やはり、モノやサービスを売る以上、市場を求めて企業は動きますから、その市場に対する一定の貢献というのは負担してしかるべきですな。
自分たちのような庶民にとっては、今回の合意は、かなり良い話だと思います。
アイルランドのように低税率で投資を呼び込んでいた国は、これから厳しくなるでしょうが、それは法人税の横取りとも言えるので、違う方向で競争力を発揮してもらいたいですね。
あとは、より利益の調整が難しいG20でどれだけ時間が掛かるか、というところでしょうか。
ここはここで、一波乱ありそうやなぁ(^^;)
 

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