2021年6月27日日曜日

淡路島の観音さん

正式(?)名称は、世界平和大観音像。
淡路島の観音さんとして知られている、巨大な観音像です。
何年も前に、この巨大観音像を見に行って、すぐ近くの喫茶店でモーニングを食べたのが懐かしいですね。
 
 
上は2013年の写真。
なんとも重い曇天で、今回のニュースに妙にリンクした写真ですが・・・
この観音像については、老朽化の指摘がかなり前からあって、地元では解体するだのしないだので何度かニュースになっていました。
それが、いよいよ解体が決定したとのこと。
 
 
観音像を建設した資産家がすでに没していて、遺族ももういないというのは知っていましたが、知らない間に国の所有になっていたんですね。
解体費用は8億8千万円で、工期は1年8ヶ月という、なかなかの長期プロジェクトとなりました。
ネットでは、巨大建造物を建てる時は解体費用を預託金として取るべき、なんて話も出てましたが、これが建てられた当時は、観光名所として多い時には1日に4000人もの観光客が訪れていたらしいので、地元自治体も観光の起爆剤として期待した面が大いにあったと思います。
なんせ、懐を痛めずに観光名所ができるんですから。
時代的にも人口ボーナス期で、大きい事は良い事だ、豪華な事は良い事だ的な、イケイケドンドンの時代でしたし。
そういった諸々の背景を考えると、出口として解体時の事まではなかなか考えられなかったでしょうし、想定されていたとしても、建設する際に不利な条件ってのも出しにくかったでしょうね。
ただ、結果的には、自治体ではなく国の所有になっているので、国の支出になってしまいましたが。
この観音像に限らず、人口オーナス期に入っている日本ではこういう事例が増えていますから、今後、このような巨大建造物を個人が造ることは難しいでしょう。
そういう意味で、この像を直に見れたことは、貴重な経験だったのかも知れません。
最後に、もう1回は見に行っておこうかな?
 

2021年6月20日日曜日

エルサルバドルの決定

先日、と言っても10日も前になりますが、エルサルバドルが法廷通貨にビットコインを加えることを決定しました。
 
 
壮大な実験ですね。
ニュースでも時折出ますが、ビットコインを含む仮想通貨や暗号資産と呼ばれるものは、どれを取っても騰落が激しい。
これを法定通貨としてどう使っていくか、非常に興味があるところです。
ただ、色々調べてみると、単純に仮想通貨を国家が利用するという、一般的に抱かれる漠然としたイメージとは、実情はやや違うようですね。
 
エルサルバドルがドルを法定通貨にしているというのは割と知られていますが、ドルを法定通貨にしているという事からは、自国の経済や財政が貧弱であるということが簡単に予測されますし、エルサルバドルの場合は実際にそうです。
貧困率は高く、治安が悪い。
悪いニュースとしてよく出てくる中米の国々の、典型的な姿とも言えますな。
経済を見てみると、人口が660万人と少なく、GDPは270億ドルしかありませんが、その内、2割が米国在住の移民からの仕送りとのこと。
ここに、仮想通貨の法定通貨化のひとつの理由がありました。
日本の銀行のイメージから言えば想像できませんが、貧困層の多い国では銀行口座を持つことが多くの人にとって難しく、その人たちへの仕送りには銀行間送金ができません。
そこで、送金を請け負ってくれる会社を使って送金するわけですが、この会社の手数料が高いわけです。
会社も、国境を通過させる手続きのほか、治安の悪い国へお金を運ぶわけですから、相応の報酬を要求するのは仕方ありません。
そこで、ビットコインが登場するわけですな。
ビットコインのライトニングネットワークという技術を使って送金すれば、数セントの手数料でエルサルバドルまで送れるわけです。
そして、エルサルバドル内でビットコインがそのまま使えるとなれば、仕送りに頼る貧困層にとっては、利便性が無茶苦茶上がるわけですね。
国にとっても、送金会社に取られていた手数料分がそのまま貧困層に渡れば、GDPの嵩上げに繋がります。
 
ただ、単純に流通する通貨量が増えることでインフレリスクは上がりますし、国内だけで完結する取引なら良いですが、国外との取引となるとビットコインからドルに変換する必要がありますから、ビットコインの変動リスクというのも抱え込まなくてはなりません。
それでも、これらリスク要因よりも、メリットの方が多いと判断したんでしょう。
この判断の成否は、3ヶ月後の実施から数年ではっきりしてくるんではないでしょうか。
マイニングの50%以上を行っている中国が、節電の為なのか、本格的に締め付けを強めている中での決定でもあり、1国の決定だけの影響を見定めるには外部要因が多すぎるように思いますが、結果には非常に興味がありますね。
しかし、国によって色々な要因が転がっているものですな。
 

2021年6月14日月曜日

最低法人税率の合意

1週間ほど前の6/5、G7の財務相会合で、法人税の最低税率についての合意がなされました。
税率は15%。
実現すれば、15%より低い地域で納税した企業に対し、15%との差額を追加で課税できるようになります。
日本の法人税やアメリカの法人税に比べればかなり低いですが、合意したことには大変意義がありますね。
ここでも何回か取り上げましたが、合意まで長い間掛かりましたな。
世界各国の間の移動障壁が減り、人やモノ、カネが国境を越えて容易に動くようになって以降、グローバル企業は、より安い国に人件費も利益も移すようになりました。
利益に関しては、世界の国々でチキンレースとも言える法人税率引き下げ競争が進み、タックスヘイブンを活用する企業も増える一方で、簡単に国境を越えられない各国の国民にしわ寄せが行く状況となっています。
今回の合意は、まだG7での合意ですが、これがG20の議論の叩き台になることは間違いなく、世界的なルール策定への大きな推進力になるでしょう。
 
また、別の合意として、インターネット等を利用した企業活動で得られた利益は、利益を得た地域や国で一定割合を納税するという事も合意されました。
これは、今でも一部で導入されているデジタル課税に関してのもので、最低法人税率に積極的なアメリカは、逆にIT産業が強力であるが故に反発していましたね。
今回、これについても、実現すれば利益率10%を上回る部分について課税できるようになります。
今は違いますが、日本でも、アマゾンが企業活動ではなく単なる倉庫と主張して納税せず、市場と流通インフラにタダ乗りしているとの批判がありましたね。
それが比較的知られるようになった事によって、楽天やヨドバシカメラしか使わないという人も出てきていましたので、アマゾンも売り上げのある日本に納税するという、現在の正常な形を選んだんだと思います。
 
やはり、モノやサービスを売る以上、市場を求めて企業は動きますから、その市場に対する一定の貢献というのは負担してしかるべきですな。
自分たちのような庶民にとっては、今回の合意は、かなり良い話だと思います。
アイルランドのように低税率で投資を呼び込んでいた国は、これから厳しくなるでしょうが、それは法人税の横取りとも言えるので、違う方向で競争力を発揮してもらいたいですね。
あとは、より利益の調整が難しいG20でどれだけ時間が掛かるか、というところでしょうか。
ここはここで、一波乱ありそうやなぁ(^^;)
 

2021年6月9日水曜日

Fastly

ニュースでも流れていますが、昨日、多数のウェブサイトやアプリで障害が発生しました。
原因はエッジコンピューティングを提供するFastly社のソフトウェアのバグだったようです。
自分が障害を知った時には、もう復旧しつつある時間だったんですが、amazonやpaypalといったアメリカのネットの中心的なサイトや、ニュース系のサイト、更にはイギリス政府など、影響範囲は相当大きかったようですね。
日本でも、楽天やメルカリなどが一時、表示できなかったようです。
 
エッジコンピューティングとは?
簡単に言えば、何でも知っている秘書のようなものですね。
あれがしたい、これがしたい、という閲覧者の要望に対し、秘書役のサーバーが閲覧者に近いところで色々と整理し、本家のサーバーと必要最低限のやり取りをしながら、または秘書役だけで処理が可能な場合は直に対応するなどして、迅速に要望に応えるという技術です。
ただ、自分がこの概念を知ったのは、無線通信技術に連携して、という形だったので、無線関係無くこれだけ使われていると知って驚きました。
携帯電話などの無線機器は、各キャリアの通信網にまず入りますから、そのキャリアの網内に秘書役のサーバーを置けば、お客さんに対して素早くコンテンツを届けることができるし、インターネットとのトラフィックもある制御が利きます。
しかし、コンテンツ表示が利用者の残留率に大きく影響することがはっきりデータで出ていますから、今は無線関係無く色んな所に需要はあるんですね。
しかし、ネット上のビジネスは寡占化するのが早いってのもあるんですが、エッジコンピューティングを提供する1社のトラブルだけで、これだけ広範囲の障害が出てしまうというのも、運用側の気持ちが解る身としては、怖い世の中になりましたな(^^;)
 

2021年6月4日金曜日

オリンピック中止論

昨今、オリンピック中止論というのが、色々なところで囁かれています。
やる、やらない、というのは、色々な見方、意見があっていいと思うんですが、一部の主張に妙に違和感があるんですよね。
先日、朝日新聞が社説で中止を訴えました。
 
 
これ以前にも、楽天の三木谷社長やソフトバンクグループの孫会長が以下のような主張をしています。
 
 
でも、朝日新聞主催の夏の全国高校野球選手権大会はやるつもりですし、楽天やソフトバンクがチームを持つプロ野球もやっている、サッカーのJリーグもやっているんですよね。
オリンピック云々を声高に表明するほどリスクと考えるなら、「隗より始めよ」ではないですが、同じようなリスクが考えられる、自らが関係する国内スポーツイベントの見直しが先なんじゃないか、と思うわけですよ。
もちろん、政府の説明も非常に曖昧で説得力は感じませんが、中止論も、ちゃんと考え得るリスクを冷徹に評価して、テーブルの上に並べて判断した結果なのか、全然見えてこない。
それをせず、中止を主張するところに、妙に感情的、いや扇動的な感じがするんですよね。
その辺りに違和感を感じるんでしょうな。
通信を営む2社はNTTがゴールドハートナーだから?などど、いらぬ勘繰りもしたくなります。
ま、朝日新聞は政権を叩きたいだけやな、という安定の納得感はあるんですが(笑)
 
オリンピックに関して整理すると、まずオリンピックというのは、各競技で会場は別々ですから、突き詰めれば同時に各種の世界大会をするということでもあるわけです。
で、現在の世界のスポーツイベントはと言うと、一部で会場変更などもありますが、ゴルフもやっていればテニスもやっているし、各種の世界大会も行われるようになっているんですよね。
つまり、競技運営に関しては、試行錯誤でこうやったらリスクは低いという知見が得られてきているのもありますし、各競技を行う事自体に関しては、現在行われているスポーツイベントと、リスクの面でそれほど差は無いはず。
となれば、あとはオリンピック全体の運用次第ということになります。
その運用面のひとつである、選手や関係者の感染予防に関しては、IOCからワクチンが供給されますので、全員とはいいませんが、ワクチンを接種して来日する選手が多いでしょう。
実際、今年の一番乗りとなったオーストラリアのソフトボールチームは、チーム全員が接種を受けて来日しています。
現在の世界の状況を見ると、これ以上の感染予防策はありません。
どちらかと言えば、日本の接種状況では、来日する選手の方が気にする状況でしょうね。
次に、運用面での移動に関してですが、基本的に選手は合宿所や選手村でほぼ隔離され、会場への移動も公共交通機関は使わないということになっています。
そうなると、一般市民との接点はゼロにかなり近づきますから、影響もほぼ無いでしょう。
実際、オリンピックの開催と中止でどのような変化が出るか試算したものがニュースになりましたが、開催と中止でほとんど変わらないという結果でした。
 
 
色々整理して考えると、自分は職種的に運用側の人間なんで、運用でカバーできるならやればいいんじゃないか、というスタンスですね。
ただ、焦点になるのが人流。
上のニュースでも、人流によって大きな差が出ていますから、観客を入れる入れないを含め、どこまでリスクを許容するのか、はたまたしないのか、ここは本当に十分議論をすべきだと思うんですよ。
リスクの面で言えば、本当に重要なポイントなんです。
一番大事と思われるこの部分に焦点が当たらず、問題の洗い出しや科学的な推測を無視して、開催と中止の二元論になってしまっているのも、違和感の原因ですね。
メディアも、もうちょっと冷静に論点整理して欲しいものですな。
でないと、評論家的やコメンテーターが出すような、実の無い議論しか生まれませんしね。