日本のメディアではあまり報じられていませんが、先日、中国で輸出管理法が成立しました。
中国で輸出管理法が成立、貨物、技術、サービスなどの輸出管理を強化
https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/10/0a5d09edf83d1d8d.html
簡単に言うと、アメリカの制裁法や輸出規制、輸出管理改革法といった規制群の中国版ですね。
どたらにも再輸出や第三国に関する規定があり、二国間の輸出入の規制に留まりません。
米中対立が進む中、アメリカの規制に対抗する為に同様の規制を作るというのは解りやすい方策ですが、サプライチェーンがグローバル化した中でこういう規制がどう働くかと言うと、当然ながら深いレベルでの分断が進むということになります。
二国間の規制に留まらないわけですから、部品の輸出さえままならない。
部品が手に入らないとなれば、コストを掛けてでも自作するしかないわけです。
それが繰り返されると、昔の米ソのように、技術体系の違う製品が出来上がって来るわけですね。
ただ、ソ連は一方の雄であっただけに技術を持っていましたが、現在の中国はアメリカ由来の技術をふんだんに使用した製品を作っています。
この環境から、それを捨てて自作を進めるとなると、相当技術的時間を戻される上に、現在の位置に戻るのすら相当時間が掛かるでしょうね。
戻った所で、アメリカを中心とする陣営は先に行ってしまっている。
これは、かなり厳しいですな。
例えばですが、ファーウェイがTSMCから半導体の供給を受けられなくなりました。
中国はこれに対し、自国で調達する為にSMICを育てようとしていますが、そのSMICも規制対象となり、製造装置すら調達できていないままのようです。
TSMCが5nmのプロセスで量産開始している状況であるにも関わらず、SMICはまだ14nmプロセスという状態。
その14nmも、TSMCに比べれば歩留まりが悪く、ファーウェイは結局、自社の45nmプロセスで生産する方向へ、というニュースもありました。
このままプロセス更改が進まなければ、中国の製品は技術的に遅れ、次第に競争力を失っていくことになります。
大まかですが、14nmで2015年頃、45nmなら2008年頃の技術ですからね。
どれだけ技術が巻き戻されてしまうか、半導体だけに非常に明確ですな。
さて、アメリカへの対抗上、同じような仕組みを入れた中国ですが、このまま技術の分断が進むのを甘受して自国開発を進めるのか?
甘受するなら、世界の工場と呼ばれた立場は急速に失われていくと思いますが、その状況で自国民の職と食を維持できるのか?
それとも何らかの手打ちをするのか?
大きな選択になりますね。
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