高山城はさすが大隅の雄肝付氏の城だけある!
高山城からは、県道561号線を使って最初は西に、次いで西南方向へと進み、一気に大隅半島の西海岸へ。
この県道、1.5車線の部分も多いですが、立派な2車線の部分も結構長くて、なかなか良い道でした。
突き当りの西海岸の海沿いを南北に走っているのは国道269号線で、この道は18年前に佐多岬を目指してトコトコと走った道です。
そう思うと感慨深いですな。
国道沿いにも佐多岬まで○○kmという案内表示が見え、懐かしさがより高まります。
あの時は、佐多岬から高山城を目指しましたが、今回は逆順ですね。
とは言っても、佐多岬までは行きませんが。
今回の目的は、根占。
と言っても根占には大根占と小根占があって、大きくは同じ根占なんですが、市町村も錦江町と南大隅町で分かれているからちょっとややこしい。
根占は、古くは禰寝と書かれ、やがて禰寝院という行政単位となりました。
その禰寝院の南部を指す南俣と呼ばれる一帯の地頭が、地名そのままの禰寝氏です。
禰寝氏は、この小根占を中心に、戦国時代には一時、種子島を制圧したほどの勢力を持ち、島津氏に対抗した肝付氏を中心とする連合の、主な一角でした。
後に島津氏に臣従し、直系血族は断絶しますが、島津氏から養子が入ったことにより薩摩藩家老の家系として続くと共に小松姓に改名し、幕末の小松帯刀へと続くわけですな。
その禰寝氏が本拠とした富田城が、今回の目的地です。
富田城へは、国道269号線を雄川沿いに東へ走り、南へと折れる国道を尻目に直進し、諏訪神社の脇を抜け、しばらく山へ入った場所にあります。
案内板の標柱は小さく、うっかり見過ごしてしまうかも知れないほどでした。
この民家の脇を進んで行くと、富田城が現れます。
左手の盛り上がりが本丸、右手の盛り上がりが東城とのこと。
しかし、どちらも道が完全に自然へと還ってしまっていました。
なんとか藪を掻き分けて東城へ辿り着いたものの、内部へと入る道は分からず終い。
下は、バッと見、何が何だか分かりませんが、東城下の空堀です。
念の為、城の北側の道も回ってみましたが、城へ入れそうな道はありませんでした。
禰寝さんって大隅の歴史じゃ重要な役どころやと思うんやけどなぁ
整備してもらってないのが残念です(> <)
このツーリングの2日目の宿は、指宿に取ってありまして、この根占から出ているフェリーなんきゅうで錦江湾を突っ切って薩摩側に渡る予定にしてました。
富田城で不満足な散策を終え、すぐ近くの根占港に行ってみると、15:00の便が出たばかり。
そして、次の便は16:20の模様。
よし、乗れなかったんじゃなく逆に時間に余裕があるっちゅうことか!というわけで、緊急にもうひとつ城を回る事にしました。
その城は国見城。
巨艦のように台地が突き出してきた地形にある城で、一時は禰寝氏も本拠としていた城です。
そうと決めたのなら、急いでスマホを手繰って情報を収集し、いざ出発。
国道269号線を北へ戻って大根占の市街に入り、適当に右折して城内地区を目指しましたが、なかなか台地へ入って行く道がありません。
台地の麓の道でUターンして少し南へ戻ってみたところ、何とか台地方向へ向かう道を発見し、1車線分の幅しか無いような道を進んで行くと、急に2車線の広い道に出ました。
その変化に内心驚きながら、快適なヘアピンカーブを抜けて上って行くと、城内集落を貫く道に入り、集落の真ん中に国見城の説明板を発見。
城らしい痕跡はこの周囲にありませんでしたが、削平地を利用して後に小学校が建てられていたようですね。
今はもう何てことはない広場にしか過ぎないんですが、この変遷も古城らしいと言えば古城らしい歴史でしょうか。
学校の敷地になっているというのは、意外と多いですからね。
この後、周囲を散策してみると、土塁や空堀らしき遺構はあったんですが、縄張図が無かった為、残念ながら全体像はよく分かりませんでした。
国見城からフェリー乗り場に戻ったのは、出発の受付時間を考えて16:00の少し前。
しかし、この時間でもフェリー待ちの車が全くいない・・・
何かおかしい。
なんでや?というわけで受付でもう一度よく確認してみると・・・
なんと16:20の便は旅客専用!
マジか!
この瞬間、開聞岳と夕日を撮るという野望は潰えた・・・
あ~あ。
と凹んでもいられないので、近くの観光名所を探してみると、なんと徒歩圏内に温泉があるではないか!
なんという幸運!
ここでダラけることに決定(^^;)
この温泉は、ねじめ温泉といい、ネッピー館という愛称の温泉施設として営業されていました。
その特徴は、豊富な湯量と、海水ちゃうんかとツッコミたくなるほど塩辛い泉質。
1Lの温泉の残留物が1gを越えれば成分が濃いなと思うのに、この温泉はなんと37.88gと言う値を弾き出していたんですね。
ただ、塩化物イオンとナトリウムイオンを足して約29g。
海水が3%食塩水ですから、これはほぼ海水が温められた温泉というわけですな。
でも、なかなかここまで濃い塩化物泉も無いですし、貴重な体験でした。
ねじめ温泉から歩いてフェリー乗り場に戻ると、ぼちぼちと車が集まって来てましたね。
やっぱりフェリーはこうでなくっちゃ。
もうチケットは買ってあったので、当然バイクの1番乗りでフェリーに乗船。
のんびりと1時間弱の船旅で、山川に着いた時にはもう暗くなっていました。
あとは指宿の宿に向かうだけ。
今日はやらかしもあって、結局のんびりな行程でしたな(^^;)
つづく
参考:
富田城
国見城
ねじめ温泉
地図付きはこちら