2018年9月25日火曜日

対中関税第3弾

軋轢が続く米中の貿易紛争ですが、昨日24日の13時、アメリカによって対中関税措置第3弾が発動されました。
発表と発動でそれぞれ報道があり、ちょっとややこしくなってきたので、ちょっと時系列で整理してみます。
最初に動いたのはアメリカでした。
通商拡大法232条に基づき、関税を引き上げることが発表され、その大統領令に署名したのが今年の3月22日。
そして、翌23日に第1弾として鉄鋼に対して25%、アルミに対して10%の関税が課されました。
この根拠となる法律は、自国産業の保護と安全保障の観点から、相手国に制裁を課すことを可能とする法律です。
つまり、単なるセーフガードとはやや違うわけですな。
また、この時は中国だけが対象ではありませんでした。
この辺りは、実は本質として重要な部分かもしれません。
これに対して中国は、すぐさま報復関税を課しています。
以降、下のように応酬が続くわけですが、以降は根拠となる法律が通商法301条で、理由が知的財産権侵害に対する制裁措置となっている事には少し留意が必要でしょう。
第1弾とそれ以降では根拠とする法律や理由が違い、また、対象も第2弾以降は中国に絞られているのです。
要するに、貿易戦争と呼ぶならば、知的財産権の侵害が挙げられて以降がその本筋と言えるでしょうな。
以下、発動したものを時系列を並べてみます。
 
3/23 アメリカ 鉄鋼・アルミ製品に15%・10%の関税。
4/2   中国   128品目に対し15%・25%の関税。30億ドル規模。
7/6   アメリカ 半導体や航空部品など818品目に25%の関税。340億ドル規模。
     中国   大豆や自動車など545品目に25%の関税。340億ドル規模。
8/23 アメリカ 電子機器や鉄道など279品目に25%の関税。160億ドル規模。
     中国   鉄鋼製品や医療機器など333品目に25%の関税。160億ドル規模。
9/24 アメリカ 食品や家具など5745品目に10%の関税。2000億ドル規模。
     中国   天然ガスや電化製品など5207品目に5~10%の関税。600億ドル規模。
 
こう見ると、アメリカに対して中国も報復で追従していますが、第3弾になって手詰まり感が見えますね。
そもそも、商売というのは、競合製品が無い場合以外は、買い手が強いもの。
中国の場合は競合する国があって、しかも圧倒的にアメリカへの輸出が多いですからね。
勝負としては大変厳しい。
それと、細かい所で、日本で報道されることはほとんど無かったんですが、日用品に制裁関税が及んだ第3弾を発動する前に、トランプ大統領は郵便公社に対して中国に対する国際郵便の撤廃を指示しています。
この割引がある間は、中国から持ち込まれた郵便に割引が適用されており、アメリカ国内の郵送費用は郵便公社持ちのようなものでした。
これが廃止になると、中国から直接送られてくる小物類は送料が劇的に上がるわけです。
なかなか、地味ながら厳しい所も衝いてきますな。
しかし、中国にとって厳しいのは、どの辺りが着地点なのか全く情報が出ていないところです。
着地点があるかどうかも分からない。
日本の報道でも、ようやく冷戦化するのではないかという報道もちらほら出てきましたね。
何より、アメリカ議会が共和党民主党ともに反中的になってきていますから、そうそう簡単に制裁は解かれそうにありません。
トランプ大統領がどこまでやるのか。
気になる所です。
 

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