参議院議員選挙が終わりましたね。
メディアやネットで様々な分析が出てますが、今回は何より改憲発議に必要な国会議員の2/3というラインを超えたというのが一番大きいトピックでしょうか。
アベノミクスの賛否というのもありましたが、世界中を見ても金融緩和と財政出動というのは今の世界の標準的な政策ですから、その量の多少というのに議論はあっても、政権が変わったからと言って何か新しい策が打てるとは思えません。
結局、どう転んでも政策を継承せざるを得なくなったでしょうね。
野党のほうから具体的な政策も挙がりませんでしたし。
となれば、野党も揃って掲げていた議員数の2/3阻止という改憲絡みの話になってくるんですが、選挙前に与党を中心とする改憲勢力が2/3を窺う情勢という報道があったにもかかわらず、投票が抑えられるアナウンス効果もありませんでした。
ということは、国民も改憲に対するアレルギーが減ってきてるんでしょうね。
そういう意味では、議席数だけでなく、ちょっとした歴史的転換点かもしれません。
個別に選挙結果を見てみると、民進党と少数政党の衰退が目立ちますね。
それと、おおさか維新の躍進ですか。
自民党へ入れたくない層が、民進党に流れずに保守系の人はおおさか維新に、革新系の人は共産党に流れたのかもしれませんね。
民進党は共産党などど一本化の選挙協力を行ったわけですが、共産党が倍増していることを考えると、結果的にこの協力は民進党に利が少なく、共産党に利が多かったようです。
個人的には、民進党が共産党と選挙協力をするというのを聞いた時に、あぁ社会党になってしまったな、という印象でした。
再び政権を目指すなら、実現可能な範囲で有効な政策を叫び続けて失点を取り戻さないといけない。
なのに共産党と同じくひたすら与党批判することを選んだ。
昭和の55年体制の社会党と同じです。
社会党が議席を伸ばす時には、多くの自民党への批判票が入ってました。
社会党の主張は関係無いし、実現するとも思われてない。
そういう立場です。
協力相手である共産党の主張なんて、実現性が驚くほど低いですからね。
高齢化社会で社会保障費がとてつもなく膨らんで財政が逼迫してるのに、社会保障充実を掲げてる。
そりゃ財源が余るほどあればそれでいいんですが、お金が無いから庶民にも政治家にも不人気な消費税を入れざるを得ないところまで来てるのに。
数字を見ると、国の予算約96.7兆円の内、社会保障費が約32兆円、過疎化高齢化が進む地方を支える地方交付税が約15.3兆円。
この2つで予算の半分です。
これを58兆円の歳入に対する比率にすると、約82%。
財政健全化を考えると危機的状況なのに、どうやって社会保障費を増やすのでしょうか。
政党ならば、もっと実現性のある政策を掲げてほしいものです。
そして政権を目指す党なら、そこはこういう夢見がちな政党とは一線を画さないといけない。
民進党は、目先の組織票に溺れてそれができませんでしたね。
ま、民進党の衰退には、重要な支持母体である連合に綻びが出始めているというのも大事な要因でしょう。
選挙の少し前に化学労連の連合脱退というニュースがありましたが、自動車総連はそもそも円安の恩恵を受ける立場にあるので積極的な民進党支持ではないし、電力総連は菅政権で痛い目を見ました。
そして、そのように連合のタガが緩んできている状態で、共産党との選挙協力ですからね。
共産党と仲の良い全労連は公務員の労働組合が多く、毛嫌いする労働組合もあるのに・・・
なんか色々とチクハグですわ。
あと、個人的に気になったのは、東北の選挙区。
現職対決で自民党が宮城と福島で民進党に敗れていますが、復興への不満があるんでしょうか。
それともTPP絡みでしょうかね。
民進党もTPP推進だったので、そこはそれほど影響があるとは思えませんが。
神戸の地震後に見られたのは、復興の際は再開発でもマンション建て替えでもそうですが、なかなか話がまとまらなかったことです。
年齢も職業も背景も違う人間が関わるわけですから、個々の利害や目論見があって簡単にまとまるわけはありません。
さらに、国がやる復興事業になれば優先順位もあるわけで、それぞれ細かな不満は募っていきます。
これらの不満は時の政権党に向けられることが多いですから、今回の自民党敗北はそういう側面もあったんでしょうね。
被災者の100%が満足する復興というのは現実的には無理ですし、多数が満足する復興というのも難しい。
元被災者としては、そのように感じます。
兎にも角にも、今回はこういう結果が出たわけですが、次回の選挙も協力体制が続くのか、引き続き見ていきたいですね。
0 件のコメント:
コメントを投稿