2019年6月22日土曜日

北陸北信ツーリング その9

前回のあらすじ
 
阿尾城を知ってから17年目の到達でした。
いや~長かった(^^;)
 
氷見の市街から見ると、北側の外れ辺りに前回の阿尾城があるんですが、そこから北西へと走ると森寺城があります。
次の目的地はその森寺城。
往時は湯山城と言ったようですね。
温泉でも出てたんでしょうか。
阿尾城から森寺城へ向かうのは簡単で、阿尾城のすぐ近くの阿尾城跡口の交差点から北西へ道を真っすぐ行くだけです。
国道160号線を越えてしばらく進むと、その名も森寺という交差点があり、そこから東側の集落に入って更に農道を1kmちょっと北西へ進むと城に到着するんですが、城から更に北西へ進むと荒山峠で、古くはこの荒山街道が越中と能登を結ぶ主要道のひとつでした。
戦国時代の初期頃である15世紀後半頃の情勢は、能登には能登畠山氏が守護としてデンと構えていましたが、越中はその本家である河内畠山氏の守護国で、実際の支配はその守護代である神保氏や椎名氏が行っていた為、守護代に力が集中し、守護の河内畠山氏も抑え切れなくなっていったようです。
この守護と守護代の対立というのは全国各地が見られましたが、越中に関してはちょっと状況が違いました。
なんてったってお隣に有力な親戚がいるわけです。
これを利用しない手は無い。
そんなわけで、河内畠山氏は隣国能登の能登畠山氏を通して越中の支配強化に乗り出し、これを受けて能登から越中への橋頭保として造られたのが森寺城なんですね。
なので、越中側に在る国境の城ではあるんですが、どちらかと言えば越中方向が正面となるような構造になっています。
そして、こうした経緯から、能登畠山氏は越中の氷見地方とは縁が深くなったようで、氷見の八代荘の国人と思われる八代氏が、弘治の内乱以降に能登畠山氏の中枢に参画したりしていますね。
越中とは言え、この森寺城や氷見は、能登畠山氏の分国に近い様相だったのかも知れません。
 
さて、その森寺城ですが、なかなか整備されている城でしたね。
車ではちょっとすれ違えないような細い農道をしばらく進んで行くと、左手の山へと入るような感じになり、割と大きな駐車場が用意されています。
案内板もバッチリ!
こういう縄張図があれば、散策には最高ですね(^^)
 
 
駐車場はもう城内の一角で、家臣の屋敷跡か何かだったんでしょう。
すぐ北は、背の高い雑草がびっしり生えてて立ち入れませんが、寺坂屋敷という区画です。
寺坂という家臣の配下の屋敷だったのか、それとも寺坂氏に近しい武将の屋敷というところでしょうか。
ここから、いよいよ山、というか丘陵に入って行くわけですが、登山道は能登側の搦手方向へと一旦回り、昔の街道の道に繋がります。
荒山街道がこの城内を通る道だったのか、それとも西側の麓に街道が通っていて城内は傍道だったのかはよく分かりませんでしたが、城内の道としてはかなり広い部類に入るでしょう。
この道沿いに、牛ヶ窪、百貫馬場という細長い削平地があり、その間にはそれぞれ土塁と堀切が明確に残っていました。
下は百間馬場の搦手側にあった堀切。
 
 
同じく搦手側の土塁と食違い。
 
 
そして百間馬場。
 
 
ここから先は、いよいよ主郭部分です。
百間馬場の先から二ノ丸の搦手への道が続いていました。
 
 
この折れ曲がった重層的な構造は、なんとも言えない良さがありますね(^^)
その途中には石垣も残っていました。
 
 
七尾城もそうだったんですが、畠山氏の築城術は割と石垣を多用するようです。
さすがに管領の一族ということで、畿内の技術が取り入れられていたのかも知れませんね。
搦手から二ノ丸に入ると、そこは広大な平地でした。
 
 
正面が二ノ丸大手で、右側の低い石垣が本丸です。
二ノ丸には巨大な井戸があり、水ノ手も確保されていました。
 
 
奥の本丸の石垣を近くから。
 
 
本丸は、石垣と堀で区画された四角い郭ですな。
 
 
次は、二ノ丸を出て、大手口から下って行きます。
 
 
ここも石垣の痕跡がかなりありました。
当時はなかなか威圧感のある大手だったんでしょうね。
大手道を下って行くと、カンジャ屋敷から連なる郭群があり、道は再び街道へと戻って行きます。
その周辺には、サイダ屋敷、野崎屋敷など、有力家臣の屋敷地を兼ねる郭が幾つもありました。
屋敷地の多さから、越中に威勢を示すべく畠山氏がこの森寺城に出張ってきた時には、その軍制そのままこの城に移ってきたような印象だったのかもしれません。
下は、そんな屋敷地のひとつ、サイダ屋敷。
 
 
屋敷地ということもあって、このサイダ屋敷を始め、それぞれがなかなか広い郭でした。
高低差はあまり無い城でしたが、城地が広大で、本気で兵を籠めたら相当な拠点になったでしょうな。
いや~満足満足(^^)
 
参考:
森寺城
地図付きはこちら
 

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