フランス大統領選が終わりました。
結果は、大方の予想通り、中道を掲げたマクロン氏の勝利となりましたね。
ルペン氏との得票率は、ほぼ2:1というぐらいの圧勝だったわけですが、極右と呼ばれるルペン氏は敵も多く、中道のマクロン氏相手では当たり前の結果と言えるのかもしれません。
ルペン氏も、もっと左翼的な相手であったのなら分かりませんでしたが。
選挙は熱烈な少数の味方よりも、曖昧な多数の忌避感情が勝敗を決するものです。
より悪くない者を選ぶ、というのが選挙というシステムですからね。
それはさて置き、ルペン氏は極右極右と呼ばれていますが、今の時代、本当に極右という定義が合っているのでしょうか。
伝統的に、右翼とは国粋主義、左翼とは国際主義ですが、冷戦時代の自由主義、共産主義の観点から見ると、自由主義は右翼、共産主義は左翼です。
さらに遡れば、資本家層が支持したのが右翼にあたり、労働者層が支持したのが左翼でした。
ルペン氏を支持する層は、移民や東欧の安い労働力を嫌う国内の労働者層、つまりはかつての左翼支持層であり、自由主義と共産主義の観点から言えば反グローバリズムなので、これまた自由主義とは軸足が反対方向を向いています。
そう考えると、右翼左翼の定義が、昔とねじれをおこしてるんですね。
グローバリズムが進んだ現在、自由主義的な施策で安い労働力を得られる資本家はリベラルを支持し、その安い労働力に雇用を奪われる労働者は保護主義的な右翼を支持する傾向にあります。
その労働者の不満が噴出した結果が、ブレグジットであり、トランプ大統領でもあるわけですな。
フランスはEUのビッグ2であり、グローバリズムが浸透している国なので、英国や米国のような結果にはなりませんでしたが、それでも3人に1人は保護主義を支持しているというのは、非常に重要な事実だと思います。
何にしろ、これだけ広範な支持を得られる政党、主張を極右とするのは、もう間違っているといえるでしょうね。
極というのは、字の通りきわみであって、あくまで相対的な基準にすぎず、広範なものではないのですから。
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