少し前のニュースですが、アップルに欧州委員会から追徴課税の命令が出ましたね。
EUがアップルに最大1.5兆円追徴、アイルランド税優遇「違法」
http://jp.reuters.com/article/eu-apple-taxavoidance-ruling-idJPKCN11513B
グローバル企業の節税というのは、もうかなり前から問題になっていて、この一件は、主に税収を奪われる側にある大陸側欧州からの本格的な逆襲と言えましょうか。
ただ、問題はそれほど簡単ではなく、アップルと、それを優遇していたアイルランドから批判が出るのは当たり前として、本来的には税収を奪われる立場のアメリカからも、政治的な思惑が濃すぎるんじゃないの?という批判が上がっています。
アップルはアメリカの企業ですからね。
アメリカも税収を取られてるけど、アメリカとしては、欧州が取るのは筋が違うし、アメリカ企業のアップルの競争力が弱まるのは困る、という部分があるんでしょう。
この辺り、国を越える税収の問題というのが一筋縄ではいかないという事を示してますね。
今回の欧州委員会の指摘は、反トラスト法という、国家による優遇処置に対する法律に基づくものなんですが、これは基本的には補助金の類をたくさん受け取ってる企業が安値で輸出しちゃイカンよ、という法律であって、優遇には違いないんですが、本来的な法律の運用から言えばやや無理筋です。
その辺りもまた微妙。
アイルランドにあるアップル子会社は、主にパテント関係を管轄する子会社だそうで、世界中から各種の使用料などが入ってきています。
アイルランドとしては、自分の国で商売して上げたものじゃないから税率は安くしておくよ、とするのも解らないではありません。
ただ、税法の世界では、子会社と言ってもアイルランドの企業ですから、租税はアイルランドが決める事となります。
しかしながら、このアップルなんかが典型的ですが、比較的富裕な層が商売相手、つまりは先進国やその国民がメインの客層なんですね。
この市場と企業のズレをうまく突いたのが、グローバル企業の節税策です。
昔と違って世界は狭くなりましたからね。
税法は、いまだに市場と企業が近いという前提になっていますが、営利集団の動きは流石に早い。
納税額を減らすということは、実質的に売り上げ増と変わらないですから。
結局は、ウチの市場で商売するならそれなりの額を払ってねという、市場規模に応じた税金が最終的な解決になるんでしょうけど、税体系がそうなるには相当な時間が掛かるんでしょうな。
各国をグルグルさせて租税回避ってのは、25年前に読んだマスターキートンという漫画にも載ってたぐらいですが、その頃から大して対策は打たれてないですしね。
まだまだ紆余曲折がありそうです。
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