2016年6月9日木曜日

サミット前後のニュースあれこれ

サミット前後にあったニュースを見ていると、なんか世界の流れが少し表に出てきましたような気がしますね。
 
まず、前にも取り上げましたが、アメリカが対ベトナムの武器禁輸を解除したニュース。
 
http://jp.reuters.com/article/vietnam-obama-idJPKCN0YF08R
 
これがサミット前の5/23。
オバマ大統領は、過去のアメリカの外交や戦争についての歴史的清算を、自らの大統領時代
の業績として残そうとしている意図があるようで、これもその延長線上にあることですが、近視眼的には、南シナ海に絡む対中国の戦略であるのは間違いありません。
 
そして、サミットでは、
力による現状変更に対する懸念を首脳宣言に盛り込みました。
 
http://www.sankei.com/politics/news/160526/plt1605260057-n1.html
 
名指しはしていませんが、中国を念頭に置いているのは間違いなく、中国自身も、議長国日本を名指ししての強烈な不満の表明や、大使を呼び出して講義するなどの行動を取っています。
また、別件として、中国の過剰生産に対する懸念も話し合われました。
 
http://www.sankei.com/economy/news/160527/ecn1605270032-n1.html
 
特に鉄鋼の過剰生産が酷く、廉売輸出の温床となっています。
石炭や鉄鋼の分野では、年初に中国がレイオフによる生産調整を明言しました。
 
http://jp.reuters.com/article/china-economy-employment-idJPKCN0W208N
 
しかし、現状は生産量はしばし減少した後、再び増加しています。
雇用というのは社会不安に直結しますからね。
株の暴落が一段落し、再び土地のバブルが芽吹きそうな状態なので、構造改革の手を緩めがちになってるのでしょうか。
また、鉄鋼に関しては、同時期にこんなニュースが流れました。
 
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/160527/mcb1605271212021-n1.htm
 
アメリカが関税法337条の調査を始めるというものですが、337条とは輸入品の排除、不公正行為の差し止めを規定した条文です。
これは品目で調査されるので、輸出事業者が不当廉売したかどうかではないのですね。
つまり、中国産の鉄鋼が品目として制限される。
ま、日米貿易摩擦の頃に散々使われた条文らしいんですが。
とにかく、アメリカも色々と中国に対して本気になってきてるということが解ります。
それ以外には、
 
http://www.sankei.com/politics/news/160527/plt1605270076-n1.html
 
のニュースもありました。
質の高いインフラ投資の合意なんですが、何を念頭にこんな合意をするかというと、もちろん中国主導のAIIBでしょう。
ただ、AIIBに関しては、未だに格付けを獲得できておらず、というか取れるけど低い格付けになるからやらん!というのが実情のようですが、何にしろ、金融的資金調達的には不透明感があります。
集めた基金を種銭にした信用で債権を起債しないと、集めたお金だけじゃたいした事業はできないですからね。
しかし、こうして並べてみると、独紙が評したように、サミットの影の主役は中国でしたな。
いろんな意味で。
 
サミット後になると、こんなニュースが流れました。
 
http://www.sankei.com/world/news/160603/wor1606030006-n1.html
 
同時期に行われていたOECDの理事会ですが、サミットの宣言を受けて、鉄鋼の過剰生産に言及しています。
また、南シナ海関連では、こんなニュースもありました。
 
http://blogos.com/article/178298/
 
割と中国には文句を言ってこなかったマレーシアが、態度を硬化させたというニュースです。
小笠原諸島でもそうでしたが、中国漁船と言うのは大量にやってきますからね。
しかも、沿岸警備が強腰か弱腰かよく見ている印象です。
弱いと見れば数の暴力で押し切る。
この辺り、上に策あれば下に策ありの中国国内の感覚をそのまま持ってきている感じですね。
そして、それを中国の沿岸警備部門がサポートするという感じ。
また、このようなニュースも流れました。
 
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM05H2M_V00C16A6FF8000/
 
フランスの国防相が、南シナ海域に海軍艦艇を定期的に派遣するようEUに提案するというものです。
ちょっとこれは意外でしたね。
ドイツ銀行がやたら中国に貸し込んでたり、HSBCやバークレイズがアジアでの影響力を無くしていく中でAIIBを始めとする手数料収入を目論むイギリスなんかは、中国を当てにしているのか割と寛容で、EU全体としてもそういう傾向なのかなというイメージでしたが。
EUは英独仏がトップ3なので、見方を変えると、英独に対抗してのポジショントークなんでしょうかね。
どう進展するのか興味があります。


今日は今日で、中国の軍鑑が初めて尖閣諸島の接続水域に入ったというニュースがありまして、きつくなった監視の目に対抗する狙いがあるのかなとも思いますが、いずれにせよ、良くも悪くも中国はしばらく注目の的であり続けるんでしょうな。
 

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