2018年7月9日月曜日

気になる中国の状況

先週、中国について、こんなニュースが出ていました。
 
中国の大手国有銀行、人民元支援のためドル売りのもよう=市場筋
https://jp.reuters.com/article/china-forex-intervention-idJPKBN1JT09S
 
同じロイターでも、こちらの方が少し詳しいですね。
 
上海外為市場=人民元、約1年ぶり安値 国有銀行がドル売り
https://jp.reuters.com/article/上海外為市場%EF%BC%9D人民元-約1年ぶり安値%E3%80%80国有銀行がドル売り-idJPL4N1TZ26H
 
7/6には、中国からアメリカへの輸出品に対する関税がスーパー301条に基づいて25%引き上げられましたが、それを織り込むように、上海市場などではしばらく前から株価の下落が起き、元もじりじりと値を下げていました。
株価の下落と通貨の下落は、すなわち外国資本の国外逃避であるキャピタルフライトの証とも言えます。
今はまだ、それほど大きな動きではありませんが、中国にとっては嫌な動きには違いありません。
今回の為替介入は、それに対する中国当局の反応ということになるんですが、国有銀行がフォワード取引でドルを買い、そのドルをスポット市場に流しているというのは、やや異質ですな。
時期が時期だけに、当局の表立った動きを見せたくないのか、それとも、中国の発表する外貨準備には国有銀行の短期決済分も含まれているという話がよくされますが、この動きはそれを示す材料なのか、はたまた、真水とされるドルやアメリカ国債を使いたくないのか、なんとも判断がしにくいですね。
いずれにしても、米中の貿易摩擦は実際に発動される段階にまで来ました。
中国が不安定化すると、2015年後半から2016年初頭のように、乱高下が世界に波及する恐れがありますし、うまく落としどころを付けて欲しいですな。
 


2018年7月3日火曜日

西野監督のリスクマネージメント

日本代表、惜しかったですね。
でも、今まで強豪相手にリードしたらディフェンシブになっていたのと違って、隙を見てきっちり攻撃に行けていました。
そこに意思を感じましたね。
ただ、強豪相手に勝ち越すことがあまりないだけに、勝ち越してからのゲームの作り方に未熟な点があったのかもという印象が残りました。
それと、勝負強さ。
強いチームは最後の5分+ロスタイムに決定的なプレーをしてきます。
コロンビア相手に追いつかれながら勝ち越し、セネガル相手に2度も追いついた今回は、そういう勝負強さが期待できましたが、結果としては、逆にベルギーに出された形となりました。
でも強豪ベルギー相手に真っ向勝負できたんですから、今後、これが糧になってくれたら、期待が大きく持てますな。
 
戦評はさて置き、ワールドカップの予選の最終戦、ポーランド戦の最後の10分のボール回しには、国内外で賛否が出ました。
これについて、自分個人としては、野球の敬遠を批判するようなものだなと思うんですがね。
時には負けている場合でも、自ら不利な作戦を採ることでその先の果実を狙うのは、全体の戦略としては極々当たり前ですから。
要は何を一番求めるかという話で、厳しい戦いであればあるほど、目先の勝敗よりも決勝トーナメント進出という確たる結果を残したいものですしね。
ただ、そのような個人の感想はともかくとして、西野監督があの時にどのようなリスク判断をしたのでしょうか。
そこが少し気になりました。
状況としては、日本が1点差で負けていて、セネガルも同じく1点差で負けている。
得失点差は無く、直接対決も引き分け。
差はイエローカードの枚数だけです。
ここで西野監督の採り得る戦略は2つ。
1つは、セネガルが追いつくことを想定して、勝ちを求めて攻め続けるプラン。
もう1つは、状況が変化しないことを想定して時間を潰していくプラン。
ここで、周知の通り西野監督は後者のプランを選択したわけで、当然ながら後者の方がリスクが少ないと評価したことになります。
この辺りのリスク評価は妥当でしょうね。
1点差とは言え、相手は世界ランクトップ10に入るポーランド。
優勝候補に挙げる人もいるほどで、この組では最強とされるチームです。
そのチームが、0勝だけは避けたいと勝ちを欲し、その勝ちを収める為に引いた状態になっている。
弱者ですらガチガチに引いて守ると強豪もなかなか攻めあぐむものですが、強豪チームが引いて守っているとなると、ゴールをこじ開けるのは並大抵のことではありません。
強引なプレーをすれば、唯一のリードポイントであるイエローカードが出される可能性もありますし、カウンターを食らえば得失点差で決勝トーナメントには進めなくなる可能性も考えられます。
ただ、こういう独特の雰囲気がある大会では、終了5分前の時間帯にゲームが動くことも多く、攻撃的なチームほどそういう劇的な展開をしたりしますから、セネガルの結果次第となる時間潰しにもかなりのリスクはありますよね。
どちらを選んでもギャンブルにはなるんですが、同じギャンブルでも本命買いのような比較的手堅い戦略だったと言えるでしょうか。
ただ、西野監督個人のキャリアとなると話が違ってきます。
最後まで諦めず攻め続けたほうが、俄然リスクは少なくなるんですな。
ワールドカップ直前というタイミングで、火中の栗を拾うような形で監督に就任しながら、初戦で強豪コロンビアに勝利するという実績を既に得ていますから、予選で敗退してもその手腕は評価されます。
まして、諦めず最後まで攻め続ければ、攻めの姿勢が解り易く好印象で、うまくいけばそのまま決勝トーナメントに行けますし、運悪く敗退しても評価は下がることはないでしょう。
これが時間潰しの策であれば、戦略とは言え、負けているチームが時間潰しをすることは非常に稀ですから、色んな論評が出てくるのは確実です。
ましてセネガルが同点に追いついてしまったのなら、戦略ミスを方々から叩かれるのは間違いありません。
西野監督個人のリスク管理で言えば、あり得ない選択だったわけです。
だからこそ、今回の西野監督の決断には凄みがあるんですね。
そこはもう、ただただ決断力としか言いようがないですな。
もしかしたら、西野監督は、積み上げてきた指導者としてのキャリアを、この試合で無くしてしまってもいいとさえ思っていたのかもしれません。
 
いや~、それにしても早起きした甲斐がありました。
結果は残念でしたけど、本当に良い試合でしたね。
今後はぐっと世代交代が進むと思いますが、楽しみになりました(^^)
 

2018年6月28日木曜日

飛騨富山ツーリング その11

前回のあらすじ
 
飛騨よさらば!
SSTRには負けないぞ!
 
高原諏訪城を出て、国道471号線を北西へ向かうと、かつて越中東街道と呼ばれたルートにあたる国道41号線に出ます。
その交差点は船津北と言う名前で、かつては高原川を上ってきた船が留まる場所であり、高原郷の北の入口だったんでしょうね。
そして、高原の木材や鉱物も、船に載せられて高原川をここから下って行った事でしょう。
今、その交差点で目立つのは、旧神岡鉄道の鉄路を利用した、レールマウンテンバイクです。
要は、自転車式のトロッコなんですが、これがかなり気持ち良さそう!
この時も家族連れが2組ほど乗っているのを見ましたが、鉄路を自分の足で漕いで進んで行けるなんてたまりませんな。
またいつか来よう!
 
国道41号線に出ると、後はひたすら川沿いを下って行く道で、この日はSSTR開催の日というのもあって、バイクが多かったですな。
数台のマスツーやソロで淡々と自分のペースで進む人、小型のオフ車から大型のSS、ハーレーまで、まるでバイクの博覧会でした。
道はそれほどの勾配も無く、県境を越えると高原のようになり、横を流れる川も高原川と宮川が合わさって神通川となります。
いよいよ、富山県へ突入!
北陸は、石川も新潟も近々に行っていますが、富山をしっかり走るのは何年振りかな?と考えてみると、恐らく23年振りでしょうか。
23年も歳を重ねたというのを考えると、空恐ろしいものがありますが(^^;)
あの頃と何も変わっていない・・・
という自省は置くとして、取りあえずは富山城に突撃です。
道は簡単。
国道41号線をひたすら北上したら、国道の左に折れる場所が富山城です。
前に来た時よりも、かなり綺麗に整備されているようですね。
まずは公園となっている富山城の案内図。
 
 
富山城は、内堀の一部と本丸部分が残っています。
県庁所在地というのもあってしょうがないことですが、他は市街化で跡形もありません。
そしてシンボルの富山城模擬天守。
 
 
堀と石垣が近世城らしくていいですね。
ちょっと真新しい感じが何とも落ち着きませんが(^^;)
天守の真下の桝形。
 
 
富山城で一番城郭らしさを感じることができる場所ですね。
この一角には、鏡石という巨石も何ヶ所かに据えられてあります。
その運搬の労力から、城の威容を伝えるものですね。
 
 
個人的には、この桝形の向かって右手にある桝形の野面積の石垣が素敵でした。
 
 
公園内部に入って、本丸側から模擬天守。
 
 
すごい優雅な空間になっていて、外国人観光客も結構いました。
昔はもっと普通の都市公園だった気がしますが、23年という年月を感じます。
公園の東側には、千歳御門がありますが、これは山城に唯一現存する城郭建築物。
重厚ですな。
 
 
最後に、北東端にある模擬櫓の佐藤記念美術館。
 
 
ここだけ海鼠壁でした。
当時の富山城は白壁だったのか、北陸らしく海鼠壁だったのか・・・よくわからん。
この場所のすぐ北に松川が流れていました。
松川の流路は、かつての神通川ですから、神通川がどれだけ富山城の防御力に密接に関わっていたか解りますね。
次は松川の遊覧船に乗るのもいいかもな~
 
つづく
 
参考:
富山城
地図付きはこちら
 

2018年6月21日木曜日

プラ寝タリウム

明石天文科学館の近くで幼い頃を過ごしたせいか、プラネタリウムというのが身近で、何年かに1回はふらっとプラネタリウムに行きます。
少し前に、思い出したように久々に明石の天文科学館へ行ってみると、その日はたまたまプラ寝タリウムという企画をやっていました。
どうやら、定期的にやってるみたいですね。
どういう企画かと言うと、ゆったりとした音楽を掛けながら、いつもの説明も控え目に、眠たくなったら寝て下さい、という企画。
何人かでプラネタリウムへ行くと、必ず1人は寝ていたような気がしますが、それが公認されている企画ですね(笑)
企画の途中で説明も何も全く無くなる時間があり、満天の星を見ながら、深い深い世界に落ちていくような感覚があり、なんとも新鮮でした。
最近はちょっと考えることが多すぎ!なんて人にはリフレッシュに良いかもしれません。
帰りに、寝られたか寝られなかったかのアンケートがあり、寝ることができたので熟睡証明書を頂きました(^^)
いや、熟睡は流石にできひんかったけども。
でもいびきをかいてる人はいたなぁ
いつでも熟睡できるなんてうらやましい・・・
 
参考:
明石天文科学館
地図付きはこちら
 

2018年6月14日木曜日

米朝首脳会議

6/12に、やるだのやらないだので紆余曲折していた米朝首脳会談が、開かれました。
まずは非核化の第一歩という所ですが、細かい所の評価はこれからでしょう。
北朝鮮は、アメリカとの交渉の舞台に立ち、今後の具体的なプラン無しに米韓軍事演習の中止を引き出したりと、北朝鮮の優位が伝えられています。
ただ、体制保証に関しては、当たり前ですが非核化無しには約束されておらず、そもそも北朝鮮という国の枠組みの話でしかありません。
つまり、今後、北朝鮮という枠はあっても金体制が倒れる可能性はあるというところですね。
この辺り、政権が倒れてしまえばリビアのカダフィ大佐と同じになってしまうだけに、北朝鮮、いや、金正恩は、経済制裁をなんとしても解きたいところでしょう。
瀬取りで密輸してくれそうな中国は、今はアメリカと貿易で対立していますし、イラン絡みで制裁を受けて破綻しかけたZTEの前例もあるので動き辛いですしね。
金正恩委員長は、経済制裁に対抗する為に取り得ることのできる選択肢がかなり少なくなっていると思われます。
かつての非核化交渉では、のらりくらりと躱し続けましたが、今回は厳しそうで、単純に、アメリカの合意に乗ってしまった方が得な状況なわけですな。
また、トランプ大統領は非核化の言質を取ったことになりますから、非核化が進展しなかった場合、軍事オプションの大義名分が立ちます。
実際に軍事オプションを選択するには非常に高いハードルがあるとは思いますが、金正恩委員長に軍事オプションを取り得る可能性があると意識させればいいわけで、その意味では重要な合意になります。
やりかねない、というのはトランプ大統領にとって強みですな。
今までは北朝鮮が強みとして使っていた要素ですがね。
ただ、気を付けたいのは、北朝鮮の意図する朝鮮半島の非核化とは、韓国がアメリカの核の傘から外れる事を意味している可能性があります。
トランプ大統領は、在韓米軍の撤退を飴として用意した可能性も考えられますな。
朝鮮半島から手を引きたいという意味の発言は、今まで何度かありましたしね。
 
トップ2人の階段で総括的な合意ができたとは言え、詳細は何も決まっておらず、非核化の進展は今後の実務レベルでの交渉に移ります。
この実務交渉を担当するのは、ボルトン大統領補佐官やポンペオ国務長官ですが、トランプ大統領はこの日を見越してか、ズラリと強硬派を揃えました。
トランプ大統領就任以降、大統領に仕える要人が多く辞任していますが、見方を変えれば、前オバマ政権時代からの人物や共和党の主流派から押し込まれた人物の多くを排したとも言えるわけで、トランプ大統領の意思を体現できる体制にようやくなってきたと言えるのかもしれません。
両国でどのような交渉が展開されるのか、目が離せませんな。
 

2018年6月8日金曜日

ドイツ銀行が再び話題に

ロイターにこんな記事が出ていました。
 
切迫感増すドイツ銀の米国事業縮小計画
https://jp.reuters.com/article/deutschebank-us-breakingviews-idJPKCN1IX45G
 
かなり前にドイツ銀行のCOCO債について触れたことがありますが、その延長線上の話ですね。
ドイツ銀行はリーマンショック時に債権を買い集めたり、中国に対してのデリバティブを膨らませるという攻めの経営をしていたんですが、欧州金融危機の際にそれが裏目に出てCOCO債という一種の株式転換社債を発行して乗り切りました。
しかし、それでも火種は燻っていたようで、今現在、世界各地の格部門を縮小しています。
少し前、ドイツ銀行の筆頭株主は、積極的な買収で名を馳せた海航集団という中国のグループだったんですが、2月と4月に相次いでドイツ銀行株を放出しました。
 
ドイツ銀への出資比率を7.9%にさらに下げ、2月に続き-中国の海航
https://www.msn.com/ja-jp/money/news/%e3%83%89%e3%82%a4%e3%83%84%e9%8a%80%e3%81%b8%e3%81%ae%e5%87%ba%e8%b3%87%e6%af%94%e7%8e%87%e3%82%9279percent%e3%81%ab%e3%81%95%e3%82%89%e3%81%ab%e4%b8%8b%e3%81%92%e3%80%81%ef%bc%92%e6%9c%88%e3%81%ab%e7%b6%9a%e3%81%8d%ef%bc%8d%e4%b8%ad%e5%9b%bd%e3%81%ae%e6%b5%b7%e8%88%aa/ar-AAwcYbB
 
これは、海航集団が深刻な破綻危機にある為で、両者の繋がりは、中国市場への肩入れをしてきたドイツ銀行の施策と表裏と言えるんでしょう。
それが今、壮大な巻き戻しを起こしているわけです。
このままでは共倒れになる可能性も高いのですが、ドイツ銀行はドイツ経済にとって非常に大事な金融機関ですから、いずれドイツ政府が救済に乗り出すのかもしれません。
ただ、欧州危機の際に銀行の救済については否定的な態度を取り続けたドイツですから、どうなるかは分かりませんね。
米朝首脳会談についての報道が盛んですが、密かに注視しておきたいトピックです。
 

2018年6月2日土曜日

NATO

少し前の話ですが、こういう記事がありました。
 
NATOに日本政府代表部
https://this.kiji.is/372920906697163873
 
NATOは、説明するまでも無いですが、北大西洋条約機構と訳され、東西冷戦の際に西ヨーロッパとアメリカ、カナダの間で結ばれた同盟です。
冷戦後は、対抗組織であったワルシャワ条約機構加盟国の東欧へも拡大し、グローバルな組織としての性格も持つようになりました。
日本とは、自衛隊と実務レベルでの提携や協力というのはありましたが、今回の政府代表部設置というのは、準加盟国に近い扱いとなるのでしょう。
NATOには、オーストラリアやシンガポールなども加盟させ、もっと大きくグローバル的な組織にするという構想があるようです。
日本政府の代表部設置というのも、その一環ですね。
ただ、日本の外交としてかなり大きなトピックのように思えますが、レガシーメディアはこういう動きは報道しませんな。
近年、日本はヨーロッパと連携する話が多くなっており、各国との2+2の会合があったり、最近では、イギリス海軍の揚陸艦アルビオンが北東アジアに展開していたりしますし、軍事演習の話題もちらほらとあります。
政治的な思惑や商業的なデモンストレーションという側面ももちろんあるんですが、太平洋と大西洋は意外と近い存在になってきた、と言えそうですね。
また、中国や北朝鮮に対するプレッシャーにもなりそうです。