2018年7月3日火曜日

西野監督のリスクマネージメント

日本代表、惜しかったですね。
でも、今まで強豪相手にリードしたらディフェンシブになっていたのと違って、隙を見てきっちり攻撃に行けていました。
そこに意思を感じましたね。
ただ、強豪相手に勝ち越すことがあまりないだけに、勝ち越してからのゲームの作り方に未熟な点があったのかもという印象が残りました。
それと、勝負強さ。
強いチームは最後の5分+ロスタイムに決定的なプレーをしてきます。
コロンビア相手に追いつかれながら勝ち越し、セネガル相手に2度も追いついた今回は、そういう勝負強さが期待できましたが、結果としては、逆にベルギーに出された形となりました。
でも強豪ベルギー相手に真っ向勝負できたんですから、今後、これが糧になってくれたら、期待が大きく持てますな。
 
戦評はさて置き、ワールドカップの予選の最終戦、ポーランド戦の最後の10分のボール回しには、国内外で賛否が出ました。
これについて、自分個人としては、野球の敬遠を批判するようなものだなと思うんですがね。
時には負けている場合でも、自ら不利な作戦を採ることでその先の果実を狙うのは、全体の戦略としては極々当たり前ですから。
要は何を一番求めるかという話で、厳しい戦いであればあるほど、目先の勝敗よりも決勝トーナメント進出という確たる結果を残したいものですしね。
ただ、そのような個人の感想はともかくとして、西野監督があの時にどのようなリスク判断をしたのでしょうか。
そこが少し気になりました。
状況としては、日本が1点差で負けていて、セネガルも同じく1点差で負けている。
得失点差は無く、直接対決も引き分け。
差はイエローカードの枚数だけです。
ここで西野監督の採り得る戦略は2つ。
1つは、セネガルが追いつくことを想定して、勝ちを求めて攻め続けるプラン。
もう1つは、状況が変化しないことを想定して時間を潰していくプラン。
ここで、周知の通り西野監督は後者のプランを選択したわけで、当然ながら後者の方がリスクが少ないと評価したことになります。
この辺りのリスク評価は妥当でしょうね。
1点差とは言え、相手は世界ランクトップ10に入るポーランド。
優勝候補に挙げる人もいるほどで、この組では最強とされるチームです。
そのチームが、0勝だけは避けたいと勝ちを欲し、その勝ちを収める為に引いた状態になっている。
弱者ですらガチガチに引いて守ると強豪もなかなか攻めあぐむものですが、強豪チームが引いて守っているとなると、ゴールをこじ開けるのは並大抵のことではありません。
強引なプレーをすれば、唯一のリードポイントであるイエローカードが出される可能性もありますし、カウンターを食らえば得失点差で決勝トーナメントには進めなくなる可能性も考えられます。
ただ、こういう独特の雰囲気がある大会では、終了5分前の時間帯にゲームが動くことも多く、攻撃的なチームほどそういう劇的な展開をしたりしますから、セネガルの結果次第となる時間潰しにもかなりのリスクはありますよね。
どちらを選んでもギャンブルにはなるんですが、同じギャンブルでも本命買いのような比較的手堅い戦略だったと言えるでしょうか。
ただ、西野監督個人のキャリアとなると話が違ってきます。
最後まで諦めず攻め続けたほうが、俄然リスクは少なくなるんですな。
ワールドカップ直前というタイミングで、火中の栗を拾うような形で監督に就任しながら、初戦で強豪コロンビアに勝利するという実績を既に得ていますから、予選で敗退してもその手腕は評価されます。
まして、諦めず最後まで攻め続ければ、攻めの姿勢が解り易く好印象で、うまくいけばそのまま決勝トーナメントに行けますし、運悪く敗退しても評価は下がることはないでしょう。
これが時間潰しの策であれば、戦略とは言え、負けているチームが時間潰しをすることは非常に稀ですから、色んな論評が出てくるのは確実です。
ましてセネガルが同点に追いついてしまったのなら、戦略ミスを方々から叩かれるのは間違いありません。
西野監督個人のリスク管理で言えば、あり得ない選択だったわけです。
だからこそ、今回の西野監督の決断には凄みがあるんですね。
そこはもう、ただただ決断力としか言いようがないですな。
もしかしたら、西野監督は、積み上げてきた指導者としてのキャリアを、この試合で無くしてしまってもいいとさえ思っていたのかもしれません。
 
いや~、それにしても早起きした甲斐がありました。
結果は残念でしたけど、本当に良い試合でしたね。
今後はぐっと世代交代が進むと思いますが、楽しみになりました(^^)
 

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