石破首相が、自民党総裁選で主張していた予算委員会開催後ではなく、総裁選勝利後に表明していた通り、首班指名された後、できるだけ早くというタイミングですね。
ただ、解散して迎え撃つ立場にある石破首相ですが、新閣僚なんかを見ると、ちょっとおぼつかない。
公明党が抑えている国交相以外では、お仲間の防衛族が中心で、それに加えて森山さんが調整した陣容なんですが、外相も防衛族の岩屋さんですし、パイプ的に心細いですね。
前外相の上川さんが石破さんに投票してたわけですから、留任でもよかったんではないかと。
財務相は、財務官僚出身の加藤さんで、安定感はありますが、出身だけに、財務省を掣肘できるかという面は気になります。
そのほかは、官房長官に留任した林さんに見えるような論功行賞や、初入閣が多さで在庫一掃などと称されていますが、そう呼ばれてもしょうがない一面はありますね。
ただ、個人的には、首相の政策に理解があるわけですから、論功行賞自体は問題ないと思っています。
首相がしっかり手綱を握ってればいいわけなので。
石破内閣では、それができるのかどうか、予測ができませんね。
すでに森山さん頼りの面が出てしまっていますし。
いずれにしろ、解散の時期もそうですが、東アジア版NATO構想がアメリカにもインドにも早々に否定され、地位協定の改定交渉も後退、日銀の独立性の主張も、市場の暴落などもあって自ら言及することで後退と、掲げた政策が現実の前に後退を余儀なくされている印象です。
そのほかでは、法人税も増税の余地があると言っていましたが、これもやめた方がいいですね。
法人税は、何年も掛けて、OECDだけではなくタックスヘイブンも巻き込み、15%程度と合意した国際的な基準があります。
日米の法人税は、今でさえこれより高いですから、法人税が上がるとなると、グローバル企業は、本支社間の仕入れなどで海外子会社の利益を厚くし、海外で法人税を納税するようになるでしょう。
日本の対外資産は世界一、つまりは国内へ還流しない利益が国外にたくさんあるわけですが、ただでさえ海外の収益を国内にどう還流させるか苦慮しているのに、それに水を差す動きになってしまいますから。
その辺り、経済に弱いと言われる石破首相が解っていたのかどうか。
石破さんの評として、「後方から味方を撃つ」というのがあります。
後方から理想論を言うのは簡単ですし、党内野党としては、それが存在感を高める上で有効だったでしょう。
しかし、理想論を現実に落とし込むのには、色んな人を巻き込んでいく必要がある。
会社でも、一線を引いた立場から、色々と評論家みたいに正論を言う人がいますが、その人が敢然と対策案を進めるバイタリティと情熱を持っているかと言えば、そうではない場合が多いでしょう。
石破政権の最初の支持率が悪かったのは、政策を後退させた部分ももちろんあるでしょうが、根本的には、この正論論者的評論家の部分だと思っています。
この評を覆すことができるのかどうか、ちょっと注目したいですね。
一方の野党立憲民主党では、日銀の物価安定目標を2%から0%超に下げるという公約を出しました。
これは・・・民主党時代から何も変わっていない・・・
物価と賃金は、あざなえる縄のごとしです。
先に賃金が上がれば、可処分所得が増えますから、需要が増えて売りやすくなり、やがて売価が上がる。
先に物価が上がれば、コストプッシュインフレという言葉はありますが、企業は市場や融資銀行から評価される以上、営業利益率という言葉からは逃れられないので、いずれは利益にも物価分の伸びが加わることになります。
そして、それが賃金に波及する。
鶏と卵ですね。
どちらが先かは分からない。
この片方である物価を0%にするとどうでしょう。
企業は、売価が上がらないので、賃金に還元することができません。
一方で、立憲民主党は、最低賃金を早い段階で1500円にすることも掲げています。
売価を上げずに賃金を上げなければいけません。
企業は、合理化や省人化を図って対応するでしょう。
あるいは内部留保を吐き出さなければなりません。
すると、職を失う人が出て来ますし、売り上げが上がらなければ企業も保守的になり、内部留保をなんとしても確保しようとします。
結果、世の中にお金が回らない。
これは、30年間見て来た景色ですね。
問題の根本は、企業の収益が上がったのに、労働分配率が下がり続けたこと。
ターゲットはそこなんです。
片方を縛ったまま片方を上げるなんて、そんな政策は続くわけがない。
現実的ではない、耳に心地の良いだけの公約を掲げるなんて、本当に何も変わっていないですね。
物価高に苦しむ人が多いとは言いつつも、国外の狂乱物価に比べれば、日本の物価なんて全くマシな部類でした。
そこは岸田政権で評価されていい部分かと思っていますが、評価されませんでしたね。
それは横に置くとして、物価は、今は2%を切るレベルに来ている。
海外での、目標としての物価上昇率は、一般的に2%程度です。
現代の経済政策は、その2%を基準に色々と実施されるわけですな。
FRBが利下げに転じたのも、インフレ率が2%に近付いたから。
日本は、そういう意味では、通常の経済政策が立案できるような、良い状態にあるわけです。
それをわざわざデフレの世界へ戻そうとする党がある。
何を思ってこんな常識無視の政策を出してきたのか、理解できないですね。
支給額が決まっている年金世代を取りに来ているのかも知れませんが、現役世代には受けないでしょう。
もっと経済政策を勉強して欲しいものです。
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