2025年6月28日土曜日

外交の落とし所

イランとイスラエルとアメリカ。
イスラエルによるイラン攻撃に端を発した紛争ですが、イランがイスラエルに対して報復攻撃を行い、当初は停戦の呼び掛けのみで静観をしていたアメリカが、しばらく後にイランの核施設に攻撃を加えました。
どのような決着になるかと思ったんですが、案外と停戦合意は早かったですね。
 
当初のイスラエルの攻撃により、イランは空港などの軍事拠点を破壊され、空中給油機を始めとする航空機を失い、防空システムも機能しなくなったようです。
イランは、防空システムの再構築を急いだようですが、結局は首都テヘラン上空の制空権を失ってしまい、また、報復攻撃でも投入できるミサイルが限られ、圧倒的にイスラエルに有利となりました。
その後、アメリカによってバンカーバスターが投入され、地下深くの核施設の破壊が行われたようです。
また、イラン政府高官や革命防衛隊などの幹部も、かなり多く暗殺されたようですね。
アメリカによる核施設の攻撃は、すでにプルトニウムや遠心分離器が移動済みで、大きな成果は無かったとの話もありますが、一連の状況を見ると、イランが圧倒的に損失を出しており、イスラエルとアメリカの勝利と言えそうな状態です。
しかし、イランがほぼ事前通告付きでカタールのアメリカ軍基地を報復攻撃し、直後に停戦合意して3者共に勝利宣言を出しました。
ここに外交の妙を感じましたね。
政権転覆による不安定化を嫌ったアメリカとイスラエルは、制空権の奪取や核施設の破壊という実利を取ってそれ以上の名は求めず、イランは逆に報復に成功したという名を取って手打ちとしました。
戦国時代にも、このような取引は見られましたね。
名を取るのか実を取るのか、各国それぞれ抱えた事情を加味した政治的な取引は、なかなか複雑なものがあります。
 

2025年6月17日火曜日

USスチール買収

6/14に、日本製鉄によるUSスチール買収が、トランプ政権によって認められました。
当初から、より理想主義的で労働組合に近いバイデン政権よりは、交渉ができるトランプ政権の方が可能性があると思っていましたが、日本製鉄による粘り強い交渉が功を奏したようですね。
最終的には、USスチールへの投資額の積み増しや、黄金株が効いたようです。
黄金株の内容は、アメリカ政府の許可なく本社の移転や社名の変更ができないといった内容とのこと。
思ったより、マイルドな内容と感じますね。
トランプ政権発足までは、日本製鉄の投資額の積み増しが過剰投資になりかねないな、との印象を持っていましたが、トランプ大統領は関税政策を強く推し進めており、アメリカ国内の需要をキャッチするには、アメリカに軸足を置いて関税を回避できる企業が最適になっています。
そういった意味で、日本製鉄の持つ高強度鋼板や高機能鋼板の技術移転が順調に進み、日本製鉄の投資による生産効率の向上が見られるようになれば、ダンピングされた中国製鋼板の入りにくいアメリカ市場で、利を得ることは可能かもしれません。
ただ、少なくとも数年は掛かりそうですが。
日本製鉄としても、宝山鋼鉄との合弁事業から撤退し、事実上中国市場を捨てたわけですから、USスチールの立て直しは、何としても順調に進めたいところでしょう。
どのような手腕を見せてくれるのか、ウォッチャーとしては楽しみです。
 

2025年6月11日水曜日

東信群馬埼玉ツーリング その10

前回のあらすじ
 
地図で見つけてふらりと立ち寄った雉岡城。
想像以上に良いお城でした。
 
続いて訪れるのは鉢形城。
関東の風雲児長尾景春が、叛乱を起こす直前に本拠として築いた城です。
この景春という武将は、野心の塊かという印象すらある人で、俗に言う戦国三梟雄の面々に負けず劣らずの経歴の持ち主。
斎藤道三の親子2代説や、三梟雄の逸話のほとんどが講談ベースというのを考えると、武将単体としては三梟雄よりも強烈な人生を歩んだ武将かもしれません。
Wikipediaでは、景春について割とあっさりした記述になっているんですが、扇谷上杉家をひとりで背負っていた太田道灌との熾烈な戦いや、帰参からの再叛乱、亡命と客死など、ドラマが盛り沢山。
この頃の関東の争乱に色濃く影を落とした武将でした。
誰か詳しい人がwikiを充実させてくれないかな笑
まぁその話は横に置くとして、その後の鉢形城は、山内上杉家の居城にもなり、北条氏時代は、北条氏康の四男氏邦が城主となるなど、北関東の最重要拠点のひとつとなりました。
城主が変わっても重要な城であり続けたんですね。
その過程で城には改修が幾度も加えられ、北条氏時代の大改修で完成した城は、びっくりするぐらいの広さを誇っています。
さて、夕暮れ迫る中、その巨城をいよいよ散策。
まずは案内図。
 
 
案内図だけで、どれだけの巨城か解りますね。
最初は、中心部であったと思われる本曲輪から。
本曲輪は東西で二分されてまして、西の荒川側が城主の居住空間だったようです。
あくまで「伝」ではありますが、伝御殿曲輪という名前が付けられていました。
その伝御殿曲輪には、石垣の痕跡も。
 
 
北条氏の城と言えば土塁のイメージですが、要所は石垣だったんでしょうね。
伝御殿曲輪は、上りながら3段の削平地で構成されています。
その2段目から最高部の1段目の様子。
 
 
最高部の写真右手側に、鉤型に土塁が残っています。
この伝御殿曲輪の最高部と東側の伝御殿下曲輪とは、10m程度の高低差。
 
 
伝御殿下曲輪は、都市公園になっていました。
 
 
続いて、本曲輪から二ノ曲輪方向へ・・・向かう前に深沢川の様子をば。
 
 
主郭部から下りた場所です。
この深沢川によって、主郭部と外曲輪に分かれ、写真で言うと、川の向こうの台地上が外曲輪になるんですが、当初の城は、荒川と深沢川によって城を守るという地形だったんでしょう。
戦国末期の北条氏の拠点は、どこも相当に巨大化して行った印象で、鉢形城も例に漏れず、外曲輪を拡張したことで川を跨ぐ形になったと思われます。
深沢川かも戻って南へ行くと、すぐに二ノ曲輪。
 
 
ここはひたすら視界の広い広場となっていました。
さらに南へ歩けば三ノ曲輪。
 
 
三ノ曲輪の荒川側の突端部は高くなっています。
その高くなった部分は、伝秩父曲輪。
 
 
発掘調査で、門や庭園などが検出されており、ここには門と石積土塁が復元されています。
ただ、何故か写真を撮ってない・・・
この三ノ曲輪周辺には、城らしい造形があり、城跡としての見所が多かったですね。
下は三ノ曲輪馬出。
 
 
馬出の切岸。
見事に逆光ですね。
夕日が眩しい!
 
 
三ノ曲輪には付随する郭がありました。
南西側には、諏訪曲輪だったともいわれる諏訪神社。
 
 
明確に堀によって区画されていました。
大手門と接続する南側には伝逸見曲輪。
こちらも堀の跡が明確ですね。
 
 
最後に、最高部から荒川と断崖の様子。
 
 
なんという後堅固の城なんだと、結構高低感を感じたんですが、写真にするとそうでもないですね笑
それにしても、広いお城でした。
満足です!
 
つづく
 
参考:
 

2025年6月4日水曜日

サイトのリニューアル 山口の全スポット終了

サイトのリニューアルですが、山口県で訪問した全てのスポットの作成が終了しました。
 
 
山口県では、お城の数が8城、観光地が1ヶ所、寺社が4ヶ所、史跡が6ヶ所、自然が4ヶ所、資料館が3館、道路橋梁が3本、合計で29スポットですね。
訪れたスポットの数は割と多くなっているんですが、特徴としては、萩周辺と長府・下関周辺が多いことでしょうか。
この2ヶ所は、じっくりと観光した場所ですし、多くなっているのも必然です。
それを差し引くと、イメージよりは訪れたスポットの数が少ないですね。
何故なのかよく考えてみると、九州へ行った際には必ず山口を通っているので、そのイメージで山口に数年に1回行っている感覚になっているだけという笑
久々に山口県に行きたくなりましたね。
 

2025年5月28日水曜日

安楽死

先日、こんなニュースがありました。
 
 
ヨーロッパの一部の国では認められている安楽死。
各国それぞれ、濫用されないよう厳格な規定がありますが、少し前に、日本人が安楽死を許容されている国に渡って安楽死したという特集もありましたね。
それだけ身近な話題になっているということでしょう。
個人的には、安楽死、尊厳死には賛成です。
よくドラマや歌詞で、望んで生まれてきたわけじゃない、なんて言葉が出てきますが、病気などでどうにもならなくなった場合には、生まれることは自分で決められないんやから、せめて死ぬ時期ぐらいは自分で決めることができてもいいんじゃないか、とは思いますね。
野生の動物を考えた場合、望んで死ぬ動物はほぼいない。
本能的に死ぬことを選ばないですから。
脳の機能を考えた時に、自分で死ぬことを選ぶことができるのは、人間が動物ではなく人間足り得る要素のひとつなんじゃないかとも思いますね。
 
人口動態を見ると、日本もそうですが、世界的にも、第二次大戦後のベビーブーマー世代が寿命を迎える年代となってきています。
大量に病死していく時代が、すぐそこまで迫ってきてるわけですね。
その時代が来る前に、安楽死や尊厳死についての議論が尽くされて欲しいですな。
個人的には、その理由となる病気の中に、認知症も含めて欲しい。
自分が自分である内に、自分の人生の落とし前をつけられるように。
認知症が進行すると、今までの蓄積された人間関係を失うだけではなく、自分の事もできなくなりますから、介護などで生かされているだけの状態になってしまいます。
それはもう、飼育されている動物と同じですからね。
それは避けたいものですね。
 

2025年5月21日水曜日

格付け

先日、こんなニュースが出てきてびっくりしました。
 
 
基軸通貨国のアメリカ国債は、最上位格付けというのが今までの常識でしたが、それが覆りそうです。
色々な経済系の計算でも、安全資産と言えば国債。
その中でもアメリカ国債は最上で、その利率が安全資産の基準として使われたりもします。
それが格下げとは。
年間財政赤字と金利負担の増加傾向がその理由ですが、この部分は簡単に改善できそうにもないので、格付けが早く戻るというのは難しそうです。
ちなみに、Aaaの格付けを持っているのは、北欧諸国やドイツ、スイス、それにカナダ、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール。
日本の国債の格付けは現在A1。
最上位のAaaから4段階下です。
また、石破首相が答弁で例に出したギリシャはBa1。
対GDP債務比率などからその答弁になったと思われますが、投資の参考となる格付けには、かなりの差があります。
首相が公に出すコメントとしては、短絡的ですね。
もうちょっと精査して答えてほしいところです。
 

2025年5月14日水曜日

米中妥結

詳細は他のニュースで散々解説されていますから割愛しますが、米中の間の関税が90日間という条件ながら、115%の引き下げに合意しました。
対中のアメリカの関税は30%、対米の中国の関税は10%です。
ただ、強硬に吹っ掛けて、最終的に30%の関税ということであれば、トランプ大統領流のディール成功ということになるんでしょうね。
人によっては、基軸通貨の国の大統領にあるまじき行動などと批判する人もいるようですが、基軸通貨国であろうが発展途上国であろうが、民主国家の国の大統領を決めたのはその国の国民であり、他の国はそれを受け入れるしかありません。
トランプ大統領がどういう行動を取るのか、それを戦略に組み込んで行くしかないわけです。
英国とは早く妥結しました。
中国とも、お互い弱みもありつつなんだかんだ取りあえずの合意に達しました。
残るはEU、日本、そしてアメリカの裏庭とも呼ばれる南米やカナダ。
どういう風に交渉が進んで行くのか、日本の狙いは達せられるのか、引き続き注目ですね。