2019年7月30日火曜日

契約解除?

最近、大手芸能事務所の吉本興業のニュースがテレビを賑わせていますな。
事の発端から考えると、なんだか本質を見失っている感はあるんですが。
吉本興業と言えば、芸人を6000人も擁するというお笑い事務所の最大手であり、超巨大な事務所。
そんな大手の問題だけに、世間の興味を引くようですね。
事の顛末についてはワイドショーに詳しいんですが、個人的に気になったのは、契約の形態でしょうか。
芸人の方たちは、ウチの会社、ウチの会社なんて言い方をしますが、労働形態から考えて社員ではない事は間違いありません。
ギャラって言葉に端的に出ていますが、ギャランティであって給料ではないわけです。
もし給料だったなら、1円の明細なんて出した日には労基署直行ですしね(笑)
例の発端の問題では、契約解除という言葉が飛び交っていました。
となると、業務委託契約という類になるんでしょうか。
一方で、明石家さんまさんなんかは、個人事務所を持っていて、事務所同士の契約になっているようですね。
この辺りは、芸人としての実力やポジションなんかで、色々と変わる部分なんでしょう。
芸能人の契約は、一般には専属マネジメント契約などと呼ばれ、マネジメントは事務所に任せ、自分は個人事業主という形が多いようですね。
ただ、マネジメント契約だった場合、上の業務委託という形態とはまた微妙に違ってきます。
吉本興業の持っている仕事を外出しするのが業務委託契約ですので、劇場の仕事や吉本興業が受注した地方営業の仕事を依頼するのはこれに近いかもしれません。
一方、指名で入るテレビや地方営業の仕事なんかは、マネジメント契約かエージェント契約の範疇になりますね。
芸人の人が、諸々の事務や契約を代行してもらう為に吉本興業を利用する形です。
発注側との契約が、吉本興業になるのか芸人さん側になるのかで、マネジメント業務なのかエージェント業務なのか変わりますが、この辺りは受注の形態も色々あって、なかなか区分が難しいみたいですな。
ところで、吉本興業は資本金が1000万しかない為、下請法の対象にはなりませんので、芸人と吉本興業の間では、いわゆる三条書面という文書を交わす必要が無く、口頭での契約も可能です。
と言っても、吉本興業は口頭でも両者で合意をするということが無かったようですから、契約が成立したかは法的には微妙かもしれませんがね。
そういう法律的なものはともかくとして、吉本興業と芸人さん達は、どのような契約の「つもり」だったのか、そこが個人的に非常に気になる所です。
もし、専属ではないマネジメント契約と思っていたとしたら、そもそも事務所を通さない闇営業の問題は無かったわけですしね。
しかも、吉本興業自身も闇営業は黙認という形だったようですし。
ん~難しいなぁ
 
あと、個人的に思うのは、若手の芸人さんが安すぎると明細を上げてたりしますが、主要都市の一等地に劇場を構え、ある程度ライブなどの自由が利く吉本興業は、コスト的に考えると、芸人さんにとっては恵まれた環境だなというところですな。
個人でライブをしようと思えば、場所を確保して人を動かさないといけませんが、人を1日動かせばどんなに安くてもひとり1日2万程度は必要でしょうし、それにプラスしてハコと呼ばれる場所代が掛かるわけで、チケットの単価や売れ方によっては持ち出しすら十分有り得ると思います。
吉本興業の劇場の場合は、ベテランとミックスすることで公演全体では黒字になっているとは思いますが、客を呼べない若手芸人だけを切り取って厳密に計算した場合、恐らく会社的には持ち出しになっているでしょう。
逆に芸人さんから見ると、いくら劇場の仕事が安いとは言っても、交通費は別として公演の仕事単体では赤字にはならないですし、広告費要らずで名前を広く知ってもらえるわけなんですよね。
本気で安い安いと批判している芸人さんには、人を動かすことに対するコスト、場所に対するコスト、ある程度指名で仕事が入るまでの露出費用、この辺りをどこまで認識しているか聞いてみたいものではありますな。
 

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