2017年6月21日水曜日

2017通常国会閉会

2017年の通常国会が、結局は会期延長を行わないまま6月18日に閉会しました。
政府が出した法案は、63/66の成立で、成立率95.5%。
昨年の50/56に比べると約6%の上昇ですな。
なんだかんだ議論を呼びましたが、終わってみれば安定的な国会運営だったと言えるでしょうか。
今国会で話題になったは、森友問題、共謀罪、加計問題が挙げられると思いますが、なんかしょぼいイメージしかありません。
メディアが、問題を大きく見せよう見せようとしたきらいはあるんですが、本質的にどれもそれほど大きな問題とは思えませんね。
大きな問題が無かったから、大した問題でもないものをさも大問題のように報道したのか、という穿った見方すらしてしまいそうですわ(^^;)
 
これらの問題については前にも少し書きましたが、自分なりにこれら問題をざっと整理してみましょうか。
森友問題は、籠池会長自身がやや問題ある人のようですが、いろんな場所で様々なタイプの人と接するとたまに当たる、自分の友達には凄い人がいるという事を盛んに言う人、かと思われます。
実は芸能人と(遠い遠い)親戚やねん、実は有名人と友達やねん(ほとんど話したことないけど)、みたいな話と同類でしょうか。
そういう人は、大なり小なり有名人や友達を持ち上げることで間接的に自分を大きく見せるわけですが、その友達が首相や首相夫人だったりすると、名前を持ち出すことで忖度を引き出せるということなんでしょうね。
有名人には、本人すら素性の知らない人が群がってきますが、その典型的パターンのひとつかと思われます。
また、首相夫人も、無報酬の名誉職ですから、経営とは遠い。
しかも、決定的な証拠として出てきたのが、修正された手書きの振込用紙の寄付だったのでびっくり。
古今東西、政治家が問題になるのは、賄賂等の不当な利益です。
それが、政治家が法に触れない寄付をして逆に払ってる、その証拠が修正テープ付き手書き、と来れば、ちょっと苦笑してしまいそうになりますわ。
同じような形の加計問題に関しては、安倍政権以前から要望として挙がっていること、麻生政権までは門前払いだったのに、民主党政権下で要検討に格上げされていること、追及側の民進党玉木議員が獣医師会の利益代表であること、この3点で問題にするべき筋ではないことが明らかです。
そもそもお友達優遇でできるなら、第一次安倍内閣で門前払いせず、ちゃっちゃと推進されてるはずですわ。
当時の愛媛県知事も、取材でそのような事をおっしゃってました。
玉木議員については、父が当の四国の香川獣医師会副会長で、弟も獣医師、更に獣医師会から献金も受けています。
ただ、それ自体は問題ありません。
本質的に政治家は、支持してくれる人の利益代表の面がありますから、賄賂等で議員が不当な利益を得ない限りは、陳情や請願は保護れるべき権利ですからね。
ただ、利益代表として話をするのと、それを隠していかにも不正を追及しているというポーズを取るのでは、全く筋が異なります。
正々堂々と、獣医師が増えれば現在の獣医師界に競争が生じて利益が減ると議論すればいいんです。
実際、タクシー業界にも見られるように、競争はすべてにおいて正義ではなく、質の低下をもたらす可能性があるわけですから。
それを主張して、しっかりと合意形成を図る、というのが正しい活動だと思うんですがね。
また、文科省内の文書についてもですが、リークした前川前次官が、天下り問題の中心であったり、いかがわしい店に通っていたりという、質の悪そうな人物というのはまず置くとして、見付かった文書が、個人PC保管のメモのようなものというは非常に大事な事実だと思います。
自分自身、IT監査関係の仕事をすることがありますが、組織として共有すべき文書というのは、共有フォルダに存在して情報共有すべき社員が見る事の出来る状態である、というのを示す必要があります。
パスまで入ったハードコピーが証跡として要求されますからね。
ここから逆説的に考えると、共有フォルダに無い文書は組織の共有情報ではないわけです。
今回は個人PC保存のメモ。
こんなものは、監査関係に携わったことのある人から見れば、証拠にも何もならないというは自明です。
そもそも、文書中にあった「総理のご意向」というは、文書をしっかり見てみると戦略特区推進の事であり、その下に「総理のからの指示に見せかけることができるのではないか」という一文があることで、文書中で既に指示というのは否定されているんですよね。
そして何より、この問題でも、森友問題同様、安倍首相が利益を得ていないことがポイントでしょう。
かつての疑獄は、必ず政治家が不当な利益を得ています。
どんな取り上げ方をされようとも、ここが疑獄の本質ですから。
そこから外れている案件は、結局の所、筋が違うんですよね。
所謂、無理筋というやつですわ。

最後に、共謀罪ことテロ等準備罪についてなんですが、この法律は、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約、所謂パレルモ条約に批准する為に必要です。
国際連合条約と付いている日本での名称を見ると解りますが、大きな国際的枠組の条約なんですね。
そもそもは、国際的組織犯罪を念頭に置いた条約ですが、テロ頻発を受けてテロ対策も包含されました。
これに、計画段階の処罰が含まれています。
この条約の金融作業部会であるFATFは、2008年10月に関連法制定について日本国内で条約を担保する法律を制定するよう勧告を出していますし、2014年6月には法整備の遅れについて声明を出しました。
現状、国連加盟国で締結に至っていないのは11ヶ国のみ、先進国では日本以外すべての国が締結している、というのが、日本の遅れを象徴していますね。
そして、民進党には、民主党政権時代に批准を目指して果たせなかった、という事実があります。
条約の重要性を知っていて、その進捗現実も知っているのに、反対している。
まして、テロ等準備罪では、まず組織的犯罪手段に属することが前提となっており、一般市民を対象とするにはかなりハードルが上がっているのに。
共産党や社民党などの理想主義の政党はともかくとして、政権を担う党を目指すなら、こういう対応は論外ですな。
法なんてのは、最悪を想定して策定するものであり、実質的な効用は運用次第です。
警察権を管轄する行政から独立している司法でも、不起訴や起訴猶予、嫌疑不十分という道があるわけですし。
野党側に懸念があるなら、運用面での議論をもっとするべきだったと思いますね。
それが建前論に終始してしまった。
日本商工会議所の三村会頭が、記者会見で、「討議の為の討議が行き過ぎており、今回のような形で決着するのは止むを得ない」と述べています。
実業に携わる人間としては、世界的な枠組みから外れたままでは、いつ商売に影響してくるか分からないという懸念は念頭にあったでしょう。
FATF絡みで、金融関係から締められる可能性がありますからね。
その世界的な現実があるのに、イデオロギー論から踏み出せないようでは、日本の政治の深化というのはまだまだ道半ばといったところなんでしょうな。
 

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