2015年10月13日火曜日

多国籍企業の税金

先週月曜のニュースですが、ひとつ節目となるニュースがありました。

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/151005/mca1510052131016-n1.htm

各新聞社が報じていますが、それほど深く取り上げたところは無かったようです。
結構大きな話だと思うんですけどね。
この多国籍企業の税金の話なんですが、リーマンショックの前から問題点は指摘されており、まとまるまでに結構時間が掛かったな、という印象でしょうか。
リーマンショック以前の話ですが、あるファンドを率いる投資家が、雇っている事務員より遥かに税率が低かったという話がありまして、この話と、この多国籍企業の税金逃れの話は、なんだか凄く不公平に思った記憶があります。
稼ぐのは全く構わんけど、相応の税金は払えよ、と。
新自由主義が掲げられていた時代の歪みですかね。
その頃から、この話はすでに国際会議の議題には挙がっていて、穴が塞がれるのはそう遠くない未来の話かな、なんて思ってましたけど、なかなか進みませんでした。
ただ、国境というハードルが低くなっていく時代にあって、有利な国で利益を最大化する、というのは、グローバルな営利集団としては生存本能みたいなもので、責めるのも酷な気はします。
ともあれ、一歩前進ですね。

グローバル企業にとって国民が富裕な先進国は重要な市場ですが、コストも高けりゃ税金も高い。
だから、商売だけは先進国でして、義務は他のところで、となるのも合理的ではあるんですが、先進国のインフラや生活水準を利用した商売をしている以上、それだとフリーライダーと本質的に変わりません。
少し前にスターバックスやグーグルの租税回避が話題になっていましたが、各国子会社間で仕入れや商標権料などをやり取りして、法人税の高い国では利益を少なく申告し、法人税の安い国で利益を計上するという手法や、ダブルアイリッシュダッチサンドウィッチという、アイスランドとオランダの2国間の租税協定を利用したものでした。
また、アマゾンも、日本にあるのはただの倉庫だと主張して、日本の税務当局と揉めてましたね。
この辺りも、数年前にスイスがアメリカに屈してスイス国内の銀行口座の情報を提供したように、タックスヘイブンなどと共に締め付けがきつくなっています。
アマゾンやその他ネット通販企業に対しても、今回の報告で、名目上倉庫でもビジネスの根幹である場合は課税できるようにするよう報告書に記載されました。
やっぱり、正々堂々と、商売した国で義務を果たして欲しいですね。
近江商人の、「売り手よし、買い手よし、世間よし」という三方よしの精神を持ってもらいたいものです。

この前、ふとポートアイランドに行った際にイケアを見まして、そういえばスウェーデン発祥のイケアの本社ってオランダなんよな、と思い出しましたが、イケアも立派なグローバル企業です。
オランダ人は歴史的に見ても重商主義で、商売に長けた優秀な人が多く、そういう人材の確保やヨーロッパ各地との交通の便がいい事が理由として紹介されていましたが、オランダに本社を移したのはそういう面だけではないんでしょうな。
オランダにはグローバル企業が集まっていますが、その目的のひとつが安い租税にあったりしますからね。
資本主義の行き着く先は、合理化を推し進めた巨大企業化で、インターネットの普及というのも、国境を越える煩雑さを少なくする要素であり、時代と言えば時代なんですが、巨大企業はその図体故に影響も大きいので、あまりにドギツイやり方は、倫理的に考えても控えて欲しいものです。
 

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