2019年5月19日日曜日

米中貿易戦争がついに

以前、鈴置記者が書いていた、米中の貿易戦争は妥結しないというという記事を見て、なるほどと思ったことを書きましたが、事態はその予測通りに動いていますね。
米中で交渉が続けられてきましたが、歩み寄りが見られないということで、トランプ大統領は約2000億ドル分の物品に掛かっている10%の関税を25%に上げることを発表したのに続き、約3000億ドルの輸入品に関税を掛けるよう指示したと発表しました。
 
米 対中関税さらに上乗せへ手続き開始 ほぼ全輸入品対象に
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190511/k10011912541000.html?utm_int=detail_contents_news-related_001
 
この発表に対して、中国サイドも対抗策を発表していますが、やや発表が遅れたことから、新たな関税の処置は中国は予測していなかったのではないかという見方もあるようです。
少なくとも、中国側はトランプ大統領の決意や意思の固さを見誤った部分はあったんでしょう。
この辺り、トランプ大統領は利に転ぶというビジネスマン的な側面を強く見過ぎたきらいがありますな。
アメリカ国内の政治的状況を見ると、オバマ大統領時代に中国が好き勝手やった結果、民主党も共和党も従来の主流派が支持を失って議員が入れ替わっており、トランプ大統領よりも議会の方が強硬になっています。
つまり、利を与えれば中国も変わるという伝統的楽観派が退場し、単純に覇権への挑戦と見られるようになっているわけですな。
このような議会状況の中、アメリカは、日本ではあまり報じられなくて適切な記事が無いんですが、ECRA、FIRRMAという法律で技術の移転や輸出、企業の買収を制限しています。
最近、中国系企業の買収が頓挫したりするケースがちょくちょく報道されていますが、これが原因のひとつですね。
そして、副会長がカナダで拘束されているファーウェイにも、こんな記事が出ました。
 
ファーウェイ締めつけに「断固反対」中国外相が米に抗議
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190519/k10011921281000.html
 
適当な記事が無くて後日の中国側の対応を報じた記事となっていますが、イランへの制裁違反を理由として、ファーウェイ社やその関連企業68社への輸出を禁止した、というのが大事なところです。
更に、これに加えてこんな記事も。
 
「中国とは共存できない!」米国が危機委員会を設置
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56310
 
この委員会は、冷戦時代の対ソ連で設置されていたものといいますから、もうこれは決定的ですな。
少なくとも、アメリカの有識者や有力政治家といった政治の世界では、そういう風に中国を見ているというのは確実なわけです。
トランプ大統領をうまく転がしてなんとかしようというのが当初の中国の方針だったと思われますが、それが成功しないばかりか、強硬となった議会を相手にしないといけない。
しかも、中国がお金を巻いていたロビィストはもう追放されていますからね。
寝技も難しい。
輸出の制限が掛けられて国内の経済が不況に陥っている中、中国製造2025で掲げた次代の製造業もECRAで技術の流入が期待できなくなりました。
さて、どうするのか?
習近平国家主席の舵取りも、なかなか難しくなりそうですね。
 

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