2014年12月5日金曜日

続・衆議院議員選挙公示

ちょっと1回では書ききれなかったので、追加で書きたいと思います。
 
つい昨日も話題に上がってましたが、民主党の海江田党首がアベノミクスの評価を100点満点で評価した-38万人という数字。
これは誤記ではなく、100点満点で突然-38万人と書いた海江田さん。
政界のファンタジスタか?
という評は置くとして、この数字は、

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-11-29/2014112901_02_1.html

のように記事になっています。
非正規雇用者が増え、正規雇用者が減っているというのを海江田さんは主張したかったと思うのですが、この数字が気になったので、少し調べてみました。
まず、記事で挙げられているのは、正規雇用者の38万人減少と、非正規雇用者157万人の増加です。
つまり、差し引き119万人の雇用者増加ということになりますね。
これを裏付けるように、有効求人倍率と失業率は改善してきています。

http://nensyu-labo.com/koyo_yukokyujin.html

http://nensyu-labo.com/koyo_kanzensitsugyo.html

で解り易いグラフとなっているので参照してみると、有効求人倍率はリーマンショックが底で、そこから一律に回復してきており、民主党時代も回復基調にあったと言えますね。
ここは、民主党政権も評価されるべき点かと思います。
ただ、今年もほぼ全体を通して求職者が有利となる1を超え、失業率も政権担当期間を通して改善しており、輸出企業が牽引して景況感の良かった2006~2007年頃と同等の値が出ているのは、アベノミクスの雇用政策が実を結んできているんだと思います。
求人が増えれば、当然ながら条件の悪い所に人が集まらなくなりますから、競争原理が働いて賃金や待遇は改善されます。
パートアルバイトの時給が上昇していることはまさにその表れで、ワタミやゼンショーなどのブラックとすら言われる事もあるデフレ系企業が利益を出せなくなっていることは、庶民にとってはいいことだと思いますね。
当の企業にとっては深刻な問題ですが、逆に言えばデフレ下では好条件で利益を出してきた訳ですから、デフレに適応した経営体制を改める時期に来てるんだと思います。
個人的には、賃金に関して言えば、政府が企業に対して賃上げなどを働きかけているわけなんですが、連合とかの労働組合系は何してんねん!という感想がありますね。
本来、そこはあんたらの仕事ちゃうんか?
と小一時間問い詰めてやりたい。
いらぬ政治活動なんかしてるより、よっぽどやることがあるんちゃうかと。
 
雇用と同じく、野党などが盛んに言う実質賃金の低下についてですが、賃金が高く人口の多い世代の引退と、少子化の進んだ賃金の安い若年世代の就業という構造的な問題があり、数字だけを抜き出したのでは恣意的に映る可能性があります。
また、正規社員の減少というのも言われますが、定年者が嘱託などの非正規職として働く事も多く、実態を正しく見なければなりません。
そこで、平成25年の人口統計を見てみます。

 
http://www.stat.go.jp/data/jinsui/2013np/pdf/tables.pdf (PDF)

この年の大卒1年目の新卒(23歳)にあたる人口は124万6千人。
同じく定年を迎え始める60歳の人口はちょうど170万人。
全員が会社員として新卒採用されるわけではないし、一律に60歳で退職するわけでもないですが、便宜的にざっと考えてみると、45万人ほど労働人口が減っていることになります。
平成26年分に相当する21歳と59歳で考えると、差は約37万人。
相当多い数ですね。
当然ながら、新卒社員は給与が安く、高年層は逆に高いですから、平均賃金にも相当な下押し圧力が出ているはずです。
ちなみに、60歳より上の世代は団塊の世代で、63歳より上の世代は200万人を超えています。
61歳以上での定年制とする企業がある事や、定年後に嘱託やパート等になって65歳頃まで働く人が多いことを考えると、実際の労働市場からの退出は、もっと人口の多い世代と推測する事が可能です。
しかし、そういう実情は数字からは読み取れないので、ざっとした計算ですが、少なく見積もって80万人ほどが差し引きで労働人口から減った、という程度は言えるでしょうか。
このような構造的な年代の入れ替わりが発生している中で、119万人の雇用者増加、そして名目賃金を横ばいかプラス圏に持って行ってるのは、自分としては十分評価できると思うんですがね。
名目賃金と実質賃金の解説は、

http://ameblo.jp/akichi-3kan4on/entry-11838824622.html

のブログが解り易かったですね。
単純に言えば、デフレ期には名目賃金も実質賃金も減少するが名目賃金の減少の方が大きく、インフレへの転換期では、その差を是正する動きが起こり、企業は人を雇い易くなる、ということのようです。
そもそも、体験的に、アルバイト時給の上昇や求人の増加は、雇用の改善というのは誰でも解ります。
通常の不景気時の正規雇用者の減少というのは、基本的には人件費を抑制する為であり、アルバイト賃金の上昇という現象とは相容れず、失業率の上昇や有効求人倍率の低下という形でも連動します。
つまり、民主党の言う正規雇用者の減少というのは、不景気による人件費削減の現象ではなく、年代的な人口差による構造的な要因が大きいと思われ、批判する材料としては非常に弱いと言うことができるでしょうか。
 
しかし、何と言うか、GDP成長率も話題に出してますが、あのリーマンショックの減少とその反動分を考慮しないまま主張するし、民主党は数字を見ない人を騙そうとしているのか。
最大野党なんだから、もうちょっと何とかしてほしいですね。
民主党だけを批判するようで悪いですが、民主党のマニュフェストには耳障りの良い言葉が並ぶだけで、具体的な数字が少ない。
もちろん、理想を語ることは大事です。
目先の事ばかりを考えていたら、大筋を誤ることもあります。
しかし、現実的な手段を語らないのでは、その理想に意味があるとは思えません。
政治は、時には遠回りとも思えるような現実的な選択をしつつ理想を目指すものですから、その道程を示さない限りは意味が無い。
2009年のマニュフェストは、極端な話、「甘言を弄す」と言ってもいいぐらいの、財源の裏付けも何も無い主張でしたが、あの失敗から何も学んでいない。
とてももう一度政権を任せるという気になりません。
もちろん、道程を示していないというのは、共産党にも言えますがね。
あそこはあそこで、安定してはいるんですが(笑)
 

0 件のコメント:

コメントを投稿